2020年は中国ブームも来る?!

【赤峰沙枝さん】韓国ブームもあるけど、今年は中国ブームも来そうです。今インスタやツイッターでは、中国人女優のロン・モンロウちゃんが話題になっていますよ。去年、「ダブルベッド」というドラマに出たことで日本でも知られるようになったんですが、とにかくかわいい。ぶりっ子じゃなくてナチュラルなかわいさだから、女子ウケもすごくいいんです。

中国ブームを予測する赤峰沙枝さん。

【原田】そのドラマは僕も見たよ。確かにロン・モンロウちゃんはすごくかわいかったなぁ(笑)。これまで日本で人気が出る中国人といえば、台湾や香港の人が多かったけど、いよいよ大陸の子が来たね。

【赤峰沙枝さん】周りでは、きつめアイライン+赤リップの中国メークや、中華美人を指す「チャイボーグ」という言葉も流行り始めています。ロン・モンロウちゃんも、インスタのフォロワーは毎日伸び続けているし、ツイッターでもドラマへの再登場を望む声が多数。今年は中国美女タレントブームが来ると思います。

【原田】中国は人口が多いから、まだまだすごい子が隠れている可能性は高いよね。今年は彼女をきっかけに、SNSから中国ブームが盛り上がっていくのかもしれない。

2時間外出OKの試着サービス

【丹羽さん】SNSは、もう若者の情報源として欠かせないものになっていますよね。ファッションの分野でも同じで、19年の秋からは「試着+SNS」を売りにした「KITEKU(キテク)」というサービスが始まっています。店内にある服を着て最大120分外出できて、SNSにも投稿OK。しかも「いいね」が1個つくごとに1円もらえるんですよ。さらに、その投稿を見た人がその服を購入すると、販売価格の10%がもらえちゃう。

左から丹羽さん、山田くん、赤峰沙都さん。

【原田】商品を買わなくても、最新の服を着て撮影して「映え」とお小遣い稼ぎの両方が狙えるわけか。ブランドのほうも宣伝になるし、面白いビジネスモデルだね。

【丹羽さん】120分間の外出の中で、その服を着た自分を撮影するっていう遊びを楽しめるので、試着のコンテンツ化みたいな感じですね。これは流行ると思うんですよ。今のところ、参加しているのは「セシルマクビー」などの中高生向けブランドですが、もう少し大人向けのブランドがあれば私も試してみたいな。

【原田】中高生なら、友達と「おそろコーデ」して外出する子も多そうだね。それと、短時間だけ働いてお小遣い稼ぎができるという点では、ワークシェアリングアプリの「Timee(タイミー)」と通じるところもあるね。最近は、若者の間にこうしたニーズが広がっているようだから、「KITEKU」も利用者は増えていきそうだね。

「Timee」の開発者は大学生、「KITEKU」の最初の実施店舗はセシルマクビー渋谷109店です。どちらも、若者の日常を肌で知っているからこそ開発できたサービスと言えるのではないでしょうか。いち早く潜在的ニーズに応えたわけですから、ヒットする可能性は大いにあると思います。

こうした若者たちの傾向をつかむには、SNSは欠かせないツールの一つ。今日の座談会でも、ストーリー映え、グルメ系インフルエンサー、チャイボーグなどが話題になっているという話が出ました。2020年、若者市場でのヒットを狙うなら、ハッシュタグなどを活用して、こうしたキーワードにアンテナを張っておくことをおすすめします。

構成=辻村 洋子 写真=iStock.com

原田 曜平(はらだ・ようへい)
マーケティングアナリスト、芝浦工業大学教授

1977年東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂入社。博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダーを経て、現在はマーケティングアナリスト。2022年より芝浦工業大学教授に就任。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。主な著作に『ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体』(幻冬舎新書)、『パリピ経済 パーティーピープルが経済を動かす』(新潮新書)、『Z世代 若者はなぜインスタ・TikTokにハマるのか?』(光文社新書)、『寡欲都市TOKYO』(角川新書)、『Z世代に学ぶ超バズテク図鑑』(PHP研究所)などがある。