山田 修平くん/法政大学3年生。サッカーサークルに所属。男性
赤峰 沙都さん/法政大学国際高等学校1年生。グルメ情報はSNSから。女性
赤峰 沙枝さん/法政大学1年生。沙都さんの姉。女性
福永 怜生くん/早稲田大学4年生。IT・通信系の流行に注目。男性
丹羽 明日香さん/早稲田大学3年生。趣味はベリーダンス。女性
ストーリー映えするハンバーグ店
【原田】最近は、SNSから火がついてヒットする商品も増えているね。企業も、新商品のPRにインフルエンサーを活用したり、「インスタ映え」を意識した商品づくりに力を入れたりしている。その中で、皆が特に注目しているものを教えてくれるかな。
【山田くん】インスタでは最近、動画や加工画像を気軽に投稿できる「ストーリーズ」っていう投稿法が人気なんですが、そこでこれから来そうなのがハンバーグ店の「極味(きわみ)や」です。席の目の前に鉄板があって、自分で好みの焼き加減に仕上げられるんですよ。ハンバーグをジュージュー焼いている絵は、ストーリー映えの定番。今までは静岡県のハンバーグ店「さわやか」を投稿する人が多かったけど、これからは「極味や」が取って代わると思います。
【原田】自分で焼き上げるスタイルが新鮮なんだろうね。自ら体験している感覚を味わえるし、友達との思い出づくりにもなりそう。「さわやか」は、特に大学生の間で流行っているのかな?
【山田くん】そうですね。ストーリーズで「さわやか」を見たことがない大学生は少ないと思いますよ。映えるのはもちろん、ハンバーグを自分で一手間加えて完成させるところも楽しいんです。ただ静岡県だから、ドライブ先としてはいいけど気軽には行けない。「極味や」は渋谷にあって、福岡の人気店が東京に初上陸したということでも話題になっています。
オーダーメードできるチュロス
【原田】なるほど。料理は「ストーリー映え」も重視される時代になってきているんだね。高校生の間ではどうなのかな?
【赤峰沙都さん】私がインスタで見て流行りそうだなと思ったのは「クラフト・ビット・ダニー・チュロス」です。これも福岡のお店なんですが、東京に上陸したら絶対女子高生にウケると思います。グルテンフリーの米粉チュロスで、一番のポイントは「チュロス文字」が作れること。前もって予約すれば、ひらがなやカタカナ、漢字など好きな文字のチュロスを買えるんですよ。
【原田】オーダーメードできるチュロスってことか。誕生日にその子の名前をかたどったチュロスをプレゼントしたりしたら、喜ばれそうだね。
【赤峰沙都さん】そうなんです。今、高校生の間ではサプライズプレゼントが流行ってるので、それにぴったりだと思います。スイーツと文字っていう組み合わせも新しいですよね。少し前、誓約書にサインしないと買えない“濃厚すぎるチーズケーキ”が大流行したんですが、これもスイーツと誓約書っていう組み合わせが新鮮だったんだと思うんです。
【原田】確かに最近は、しっかりキャラ付けされたエッジィな商品が流行る傾向にあるね。このチュロスも、オーダーメードだからインスタ映えはバッチリだし、グルテンフリーという点もオリジナリティーがある。ブレークする可能性は高そうだな。
女子高生の人気者「りょうくんグルメ」の影響力
【赤峰沙都さん】グルメ系では「YAKUYAKU食堂」も高校生の間で流行っています。新宿にある韓国焼肉のお店なんですが、インスタで「りょうくんグルメ」がオススメしたことで人気になりました。彼がすすめるお店は値段も手頃だから、女子高生のフォロワーも多いんですよ。このお店もサムギョプサルの食べ放題が1980円で、プラス300円でタピオカも飲み放題。インスタ映えもするし、友達と行くとすごく楽しいです。
【原田】「りょうくんグルメ」はグルメ系インフルエンサーで、彼が紹介したものは必ず流行ると言われているね。高校生にグルメスポットを教えてくれるようなアカウントは今までなかったから、一気に人気が出たんだろうな。沙都ちゃんの話を聞くと、今年はさらに影響力を増しそうだね。それに、女子高生の間では今年も韓国ブームが続きそう。グルメ系のヒット商品を占う上では「りょうくんグルメ」「韓国」がキーワードになりそうだな。
2020年は中国ブームも来る?!
【赤峰沙枝さん】韓国ブームもあるけど、今年は中国ブームも来そうです。今インスタやツイッターでは、中国人女優のロン・モンロウちゃんが話題になっていますよ。去年、「ダブルベッド」というドラマに出たことで日本でも知られるようになったんですが、とにかくかわいい。ぶりっ子じゃなくてナチュラルなかわいさだから、女子ウケもすごくいいんです。
【原田】そのドラマは僕も見たよ。確かにロン・モンロウちゃんはすごくかわいかったなぁ(笑)。これまで日本で人気が出る中国人といえば、台湾や香港の人が多かったけど、いよいよ大陸の子が来たね。
【赤峰沙枝さん】周りでは、きつめアイライン+赤リップの中国メークや、中華美人を指す「チャイボーグ」という言葉も流行り始めています。ロン・モンロウちゃんも、インスタのフォロワーは毎日伸び続けているし、ツイッターでもドラマへの再登場を望む声が多数。今年は中国美女タレントブームが来ると思います。
【原田】中国は人口が多いから、まだまだすごい子が隠れている可能性は高いよね。今年は彼女をきっかけに、SNSから中国ブームが盛り上がっていくのかもしれない。
2時間外出OKの試着サービス
【丹羽さん】SNSは、もう若者の情報源として欠かせないものになっていますよね。ファッションの分野でも同じで、19年の秋からは「試着+SNS」を売りにした「KITEKU(キテク)」というサービスが始まっています。店内にある服を着て最大120分外出できて、SNSにも投稿OK。しかも「いいね」が1個つくごとに1円もらえるんですよ。さらに、その投稿を見た人がその服を購入すると、販売価格の10%がもらえちゃう。
【原田】商品を買わなくても、最新の服を着て撮影して「映え」とお小遣い稼ぎの両方が狙えるわけか。ブランドのほうも宣伝になるし、面白いビジネスモデルだね。
【丹羽さん】120分間の外出の中で、その服を着た自分を撮影するっていう遊びを楽しめるので、試着のコンテンツ化みたいな感じですね。これは流行ると思うんですよ。今のところ、参加しているのは「セシルマクビー」などの中高生向けブランドですが、もう少し大人向けのブランドがあれば私も試してみたいな。
【原田】中高生なら、友達と「おそろコーデ」して外出する子も多そうだね。それと、短時間だけ働いてお小遣い稼ぎができるという点では、ワークシェアリングアプリの「Timee(タイミー)」と通じるところもあるね。最近は、若者の間にこうしたニーズが広がっているようだから、「KITEKU」も利用者は増えていきそうだね。
「Timee」の開発者は大学生、「KITEKU」の最初の実施店舗はセシルマクビー渋谷109店です。どちらも、若者の日常を肌で知っているからこそ開発できたサービスと言えるのではないでしょうか。いち早く潜在的ニーズに応えたわけですから、ヒットする可能性は大いにあると思います。
こうした若者たちの傾向をつかむには、SNSは欠かせないツールの一つ。今日の座談会でも、ストーリー映え、グルメ系インフルエンサー、チャイボーグなどが話題になっているという話が出ました。2020年、若者市場でのヒットを狙うなら、ハッシュタグなどを活用して、こうしたキーワードにアンテナを張っておくことをおすすめします。