「弟を日本一にする」。イオングループ創業者・岡田卓也の実姉・小嶋千鶴子は、その言葉通り、家業の岡田屋呉服店を日本最大の流通企業に育てた。『イオンを創った女の仕事学校』(プレジデント社)の著者・東海友和氏は「小嶋は相当早い時代から、女性を戦力化するための施策を講じていた」という――。
頭に「女」がつく言葉を嫌った理由
小嶋は職業・肩書・役割のあたまに「女性」「女」が付く言葉を嫌った。
たとえば女性経営者・女優・女性記者・女流作家等々である。この言葉の響きには本来男がすべきなのに女性がしているという珍しさや一段ひくい立場のという意味を感じるからである。
小嶋は取材におとずれた雑誌の編集長(女性)が、「小嶋さんは仕事もして結婚されて家庭のこともなさっているので驚きました。とても立派ですね」という言葉に、小嶋はすかさず「何が立派なもんか。当たり前やないの、そんなこと」と言い、有夫の婦という言葉を引き合いに、女性の地位について語ったことは過去にも紹介した。
こんにち社会がかわり、女性の権利が認められる世の中にあってもこの差別意識はあまり変わっていない。
ジャスコ時代に、女子4年生大卒社員を採用した際にも記者から「小嶋さんが女性だから女性に理解があるのでは」という問いかけに対して、「そんなものは関係ない。意欲と能力が必要なだけや」と言い切ったのである。