主婦たちには「消費者の目線」があった

「就業した主婦の多くは、折から“産業化”を進める企業の内部に直接参加する機会を得て、自ら組織社会の一員となった。同時に自ら扱う商品を通じて、自らの目で技術革新の実態を把握し、社会の変化そのものを家庭生活の中に吸収することができた」

つまり、

「主婦たちは自らの健康や生命に深い関わりのある食料品や、毎日の生活で使用する家庭雑貨や家電製品の販売を実体験することができた。これによって、社会に対する目、商品に対する目を養い、消費するだけの生活体験から販売する側の立場、あるいは生産製造の過程まで踏み込んだ多くの知識を得ることになった」

のである。

そして、

「内部からの消費者代表としての発言は、それなりの重みがあり、問題解決への参画にもなった。その多くは表面にこそ現れていないものの、日本の消費財の質的向上という社会的な要請に対して、彼女たちが果たしている貢献を見逃すわけにはいかない」

と評価している。

そういった奥様社員たちの中には、管理職に登用されて定年まで就労された方もいた。

まさに、女性ならではの特質を経営に活かしたのである。

ジョブローテーションで戦力に育て上げる

ただ、その前提として、“女子社員をどう戦力化するか”といった問題意識もあった。

「開店以来、ずっと同じ女子社員だけという店をたまに見かけるが、新しい女子社員の入社、あるいは異動がないと、店に新鮮な感じがなくなり、顔なじみだからいいという特定のお客さまだけになってしまう。新しいお客さまは決して増えない。同一職場で一定の勤務年数が経過した者、あるいは一定の年齢に達した人に対しては、ある種の刺激を与え、いわば人事のリフレッシュを行う必要がある」
「異動の対象になった人には、職場を変わることがその人たち自身の仕事の領域と可能性を広げ、大きなプラスになるのだということを事前に十分説明しておく必要がある」

として、本人の意識を向上させ、ジョブローテーションによって戦力として育て上げることも行った。