新しい景色を求めて未知の業界へ
「でも、組織改革ってあまりハッピーじゃないんですよ。皆に結果を出してもらうためには、心を鬼にしてキツいことを言ったりしなくちゃならない。そのつど信念をもって決断してはいましたが、痛みもたくさん経験しました」
就任から2年後、商品のブランドシェアは大きく向上し、業績は一桁台後半の伸びを見せた。つらい時期もあったが、この結果は大きな自信になったという。自分なりに、組織改革のサイクルもつかむことができた。
改革中は数字も出ず、部下からの不信感も受け止めるしかない「耐える時期」。でも、そこを乗り越えて結果を出した時の評価は想像以上──。組織改革のプロセスを経験して、シーチャウさんは大きく成長した。
この成果が認められ、当時としては史上最年少で香港現地法人の社長に就任。ここでも、不振に陥っていた業績を見事に立て直してみせた。ただ、前回とまったく同じプロセスを踏み、同じ景色を見たことで「ちょっと飽きちゃった(笑)」のだとか。持ち前の好奇心が、次はまったく違う景色を求めていた。
2回の事業立て直しを経て、未知の世界を探し始めたシーチャウさん。やがてFOLIO社長の甲斐真一郎氏(現・FOLIOホールディングス取締役会長)と出会い、投資をもっと身近なものにしたいという理念に共感。加えて未知の業界だったため、「違う筋肉が鍛えられそう」と入社を決めた。
「今は毎日が初めての体験だらけ。サービスの機能向上、投資そのもののイメージ転換など、初めて経験する課題もたくさん。『ワンコイン投資』は少しずつ広まってはいますが、さらに結果を求めて、投資が初めての方にささる仕掛けを考えていきたいですね」
業界は変わっても、結果にこだわる姿勢にブレはない。FOLIOという新しい景色の中で、自分をアップデートしながら挑戦を続けていく。
■役員の素顔に迫るQ&A
Q 好きな言葉
The most comfortable thing is being uncomfortable.(楽な状態でいることが最も楽じゃない)
Q 趣味
旅行
Q 最近読んだ本
『ソフトウェア・ファースト』及川 卓也
「社内の技術者に勧められたのがきっかけ。技術者の考えをもっと理解したくなり、プログラミングの勉強も始めました」
Q Favorite Item
スニーカー、iPhone
「歩きながら仕事のことを考えるのが好きなのでスニーカーは必須。アイデアが浮かんだらiPhoneにメモします」
文=辻村 洋子 撮影=徳山喜行
2008年、一橋大学卒業。P&Gジャパンなどを経てジョンソン・エンド・ジョンソンに入社。マーケティング本部長に就任し、2年間で全ブランドのマーケットシェア向上を実現。その後、香港現地法人の社長として当時史上最年少で赴任し、1年間でV字回復を達成。2018年、FOLIOに入社し現職に就く。