「普通」の評価にやる気スイッチがON

「私への評価は『普通』だったんです。特に悪い点はなくて、全部ほどほどにこなせていると。こなせているのなら『優秀』じゃないのかと聞いたら、でも結果を出せていないよねってはっきりと言われて……。そこからマインドセットがガラリと変わりました」

これが転機になった。以降は徹底的に結果にこだわるようになり、仕事への取り組み方も変化。あの一言がなかったら、ずっと“ゆるキャリ志向”のままだったかもしれないと振り返る。本当のことをズバリと指摘してくれた上司とは、今も一緒に飲みに行く仲。シーチャウさんの成長を喜んでくれているという。

この心境の変化は、次の職場を選ぶ際の柱にもなった。結婚し、当時の勤務地だった神戸から、夫が住む東京へ引っ越した翌年のこと。さらに結果を求めていこうと、フットケアブランドのドクター・ショールに転職した。

選んだ理由は「このビジネスなら私が結果を出せると思ったから」。その確信通り、入社1年目で足裏の角質を除去する「ハードスキンリムーバー」を大ヒットさせる。海外向けの商品を日本女性向けにアレンジして売り出そうというアイデアだったが、提案した当初は社員の大半が半信半疑だったそう。

「絶対売れるからって言っても全然信じてもらえなくて。でも、CMが流れたその日から注文が殺到して、すぐに欠品するほどでした。いい商品だと信じて頑張ってつくったら、消費者に喜んでもらえた。初めての成功体験で本当にうれしかったですね」

反対していた人も「結果」を出せば認めてくれる。その「結果」は、消費者ニーズにきちんと向き合えば必ず出せる──。シーチャウさんの確信はさらに深まり、その後もアイデアに反対する上司を、時には本社を、売上という結果で納得させていった。