「そんな服装で出社されたらブランドイメージが壊れる」

市原さんは、新卒時代に大手コンサルティング会社でCRM(カスタマー・リレーション・マーケティング)の仕事に就いた。その経験から、LVMH(ルイ・ヴィトン・モエ・ヘネシー)ジャパンに転職。LVMH勤務時代に結婚し、2004年に長男を出産した。

同社で仕事をするうえで困ったのは服装だった。

前職ではダークスーツが「失礼のない服」の基本だったため、いつも暗い色のスーツを着て出社していた。しかし、LVMHはファッションの最先端の企業だ。あるとき、先輩女性から、「そんな服装で出社されたらブランドイメージが壊れる」と面と向かって言われてショックを受けた。

「ブランドにも興味がなく、ダークスーツは誰にとっても無難な『失礼のない服』だと思っていました」と市原さんは苦笑する。

先輩とともに百貨店に直行

働く女性のためのきちんとした服には、ある種の“ドレスコード”もあることに気づいた市原さんは、おしゃれな先輩にお願いして、その日のうちに百貨店に直行した。先輩に服を選んでもらい、まとめ買いするためだった。これが、市原さんが服をスタイリングしてもらうことの重要性に気づいた原点だ。

ただ、おしゃれな人も、服やコーディネートの良し悪しは感覚で選んでいる。「センス」の磨き方がわからず、なかなか自分自身のおしゃれ度は上がらなかった。

その後、仕事と家庭の両立を考え、アンチエイジング関連のベンチャー企業に転職した。しかし、転職から1年後、長男が3歳の時、市原さんの仕事人生が急転する出来事が起こった。