自民党の「昇進システム」は当たり前なのか

もちろん、年齢が若ければいいというものではないでしょう。私の大学のゼミの学生たちとこのことについて議論した時にも、「正直なところ、若い女性のリーダーでは頼りないと感ずるところもある」という意見が、同じ女性の学生から聞かれました。

ただし「若いからこそ、過去の経験に頼らず、新しい発想を生み出すこともある」「若者たちが、政治をより身近に感じ、希望を持つことができる」といった声もありました。

前者について思い当たるのは、年功序列を基本とした自由民主党の「昇進システム」です。現在の第4次安倍再改造内閣で初入閣した12人のうち、小泉氏以外の11人は、衆議院での当選が5回以上、あるいは参議院での当選が3回以上の、いわゆる「入閣待機組」であり、当選回数が4回の小泉氏の起用は「異例」扱いでした。そして、そのような扱いは政治の世界では当然とばかりに、大手メディアの政治記者たちが記事を書き、テレビに出てくる大学教授や「政治アナリスト」たちが「政治というのは、そういうものなんですよ」とコメントするので、多くの人々が「あー、そんなものなんだ」と受け入れてしまっているのが現状です。

若くて優秀な政治家がいない理由

けれども、民間企業の世界で「入社から20年経たない社員は、絶対に社長にしない」などというルールを公言すればどうなるでしょうか。結果としてそうなっているならともかく、初めからそんなルールを掲げていては、今後、若くて優秀な社員を獲得するのは不可能でしょう。このことは政治の世界でも変わらないと思います。

フィンランドのマーリン首相は、4年前、彼女が30歳の時の国政選挙で初当選し、今年の選挙での当選が2回目でした。彼女自身も勇気のある素晴らしい人物なのでしょうが、そんな彼女に首相の責務を託すことのできるフィンランドの国会議員、ひいては国民の勇気に、私は素直に拍手を送ります。