SDGsの取り組みは、ブランドの成長を7割速める

続いてユニリーバ・ジャパンの島田由香さんから、メーカーでのSDGsの取り組みと、その成果について発表がありました。

ユニリーバ・ジャパン・ホールデンィグス 取締役 人事総務本部長 島田由香さん

「ユニリーバは、サスティナビリティを暮らしの当たり前にすることを目標にしています。もちろん営利企業ですから、売り上げや利益も上げる。それと同時に環境負荷を下げていくことをビジョンとし、社会に貢献する組織をつくることを大事にしています。サスティナビリティに取り組むのは、最終的にはコスト削減にもつながるから。SDGsは、いい地球、いい社会をつくり、人が持っている『幸せにありたい』ということにつながるものです。そして、そういう目標をはっきり持っているブランドは、約7割も成長が速い、ということも私たちの調査でわかっています」

ブランドごとに目標を立てるとともに、ユニリーバ・ジャパンという会社としても大きな目標を立て、達成に向けて進んでいるそう。たとえば、事業所で使用するエネルギーを再生可能エネルギーでまかなう、という目標はすでに3年前に達成。また、製品に使うプラスチック量については、2025年までに半減させる、という目標を立てています。

株価を上げるメルカリのSDGs実践例

昨年上場し、瞬く間に市場でも大きな存在感を示しているメルカリ。世界的カンファレンスの場でも、「メルカリは環境負荷が少なく、さらにきちんとマネタイズしている。サスティナビリティを支えるプラットフォームでありながら、収益を上げ、時価相場を上げているのは世界的にもまれだ」と高い評価を得ていると言います。

メルカリ取締役President 鹿島アントラーズ・エフ・シー代表取締役社長 小泉文明さん

事業の成長と環境、社会課題の解決という3つの軸の真ん中にESGを入れていく。上場に当たってこのように決めた小泉さんは、社内プロジェクトを立ち上げ議論をつくしたと言います。現在は、優先順位の高い課題からプロジェクトを推進中。

「事例としてわかりやすいのは、メルカリエコパック。段ボールがゴミになるという自己矛盾を解決するために、繰り返し使える梱包材を開発しました。また、子どもたちに向けて、環境によく、お金のことも勉強できる教育プログラムも用意しています。また、二次流通がわかると、一次流通における在庫の最適化にもつなげられるのではないか、と考えていて、一部のメーカーとそういった話もしています。メルカリは、創業以来ずっと『捨てるをなくす』がモットー。エコパックも教育プログラムも、いろんなものを循環させていきたいという思いがベースにあります」