タイプ2 権利意識が強く、言うことを聞かない部下

若手の部下が言うことをすんなり聞かず、反対に主張してくるので手を焼く……。そんな相談も増えています。

たとえば「出勤時間よりも15分前には出社してね」と言ったら、「就業規則に書いてないのに、なぜですか?」と言ってくる。「私が若い頃は、こんなこと言わなかったのに……」と、イラ立ちを募らせる管理職層は多いのです。

そういうとき、イラっとして「そんなの常識でしょ!」と言わないよう気をつけましょう。年代が違えば価値観は大いに違い、自分にとっては常識でも、相手にとっては全くそうではない可能性が高く、「先輩に常識を押し付けられた」と言ってくる若手もいるこの頃です。

人は「なぜ?」という理由・根拠が腹落ちしないと、自発的な行動はしないもの。だからこそ、「何のために、なぜ15分前に出勤してほしいのか」という理由をわかるように説明する必要があるのです。

「こんなことまで言わなければならないの?」と思うかもしれませんが、「こんなことから言わなければわからない」、つまり異文化コミュニケーションだとわりきりましょう。内容によっては相手の考えも聞きつつ話し合うこと、イラッとしてゴールを間違えないことも重要です。

ついたたきのめしてしまった……という声もありますが、相手にわかってほしいことを理解し、行動してもらうことが目的であることを忘れないことも大事なことです。

タイプ3 昭和的な価値観を押し付ける上司

部下だけではなく、こんな上司に困っているという声もあります。

「仕事は上司の背中を見て覚えるものだ」「飲み会では上司が箸をつけるまで待て」など「それって昭和の話では?」という価値観を押し付け、さらには機嫌の振れ幅が大きく、機嫌が悪いと感情的に怒鳴ってくる上司。

先にとりあげた若手部下の事例と同じく、年代が違えば価値観が違い、上司にとっては長い間信じてきた大切にしている価値観なので、「それって昭和の話ですよね?」「そんなの通用しませんから!」「古いですよ!」と真っ向から否定すると、自尊心が傷つき攻撃的になる人もいます。

「〜の時は〜だったのですね~」と受け流していいような場合は受けとめるだけにし、そうもできない場合は、受けとめつつも「〜した方が〜より効率がいいのでそうしてみませんか?」というように、提案型で対応してみましょう。

感情をぶつけられると嫌な気持ちにもなりますが、どんなに頑張っても相手の感情はコントロールできません。

自分の力でコントロールできないものに対して、「どうしてこうなる!? なんとかならないかな!」と思えば思うほど、必要以上の怒りやストレスを抱えます。現状は変わらないばかりか、自分の怒りやストレスが大きくなるなんてことは避けたいものです。

「これは私の力ではどうにもできない範囲。自分の怒りが大きくならないよう私はどう行動すればいいのか」というように、相手の感情に巻き込まれず俯瞰し、できる対処に意識を向けることもアンガーマネジメントの考え方です。

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戸田 久実(とだ・くみ)
アドット・コミュニケーション代表

日本アンガーマネジメント協会理事。立教大学文学部卒業後、服部セイコー(現 セイコーホールディングス株式会社)にて営業、その後音楽業界企業にて社長秘書を経て2008年にアドット・コミュニケーションを設立。研修講師として民間企業、官公庁の研修・講演の講師の仕事を歴任する。著書に『アンガーマネジメント 怒らない伝え方』など。