ハイリスク・ハイリターンのFX(外国為替証拠金取引)

自身もトレードしているという高山さんによれば、「うまくやればハイリターンを得られますが、リスクが高いのも事実」とのこと。「FXは、外貨預金と同じように外貨に投資する金融商品です。ただし、外貨預金は円と外貨を交換しますが、FXは円を売って外貨を買うというもの。また、円を売って外貨を買うだけでなく、逆に外貨を売って円を買う、といったことも可能です」。円以外の通貨同士の取引もOK。加えて、外貨預金と大きく異なるのは、預けた資金の何倍もの取引ができること。

「レバレッジ」と呼ばれるが、たとえば50万円分投資して、レバレッジを2倍に設定すると、100万円分の資金を動かせる。1割値上がりしたとすると、資金50万円のときは5万円のもうけだが、資金100万円だと10万円のもうけに。高いレバレッジをかけて大きな資金で勝負をしたほうが、わずかな値動きでも大きな利益を生みやすい。「反対に、損失も大きくなりやすいのですが、レバレッジ1倍なら、外貨預金とリスクレベルは変わりません。興味がある人は1倍で、少額の余裕資金で始めてみてはいかがでしょう」

不変の価値を持つ金投資

きんは配当や利息がつかず、得られる利益は値上がり益だけです。株や債券などのように紙くずになる恐れがなく、不変の価値を持っていることから、戦争や金融危機といった有事の際に買われる傾向が強いことで知られます」と言う深野さん。株や債券などとは値動きの仕方が異なることから、これらの資産に投資をしている人が、ポートフォリオの一部に組み入れるのが理想といえそうだ。組み入れる割合は「資産の1割程度が目安」とのこと。

「金に投資する方法はいくつかあり、最もポピュラーなのが月数千円程度から始められる純金積み立て。金価格に連動して動くETF(上場投資信託)も、1万円前後で買えます。金の延べ棒は地金商などで買えますが、500gで数百万円程度と高額。より気軽な金貨は、数万円程度から買えます。国内の金価格はドル建ての国際価格を円建てに換算して算出するので、為替変動リスクも受けます。価格変動も為替変動も方向性を読みづらいので、初心者が始めるなら積み立てか、ETFを定期的に買うなど、大金でまとめ買いせず、時間を分散させて買ったほうがいいですね」

高山一恵
ファイナンシャルプランナー
Money&You取締役。エフピーウーマンを経て現職。おもに女性を対象に、セミナーなどを通じてマネー情報を配信するほか、女性FPと女性をつなぐマッチングサイト「FP Cafe」も運営。近著に『一番わかる 確定拠出年金の基本のき改訂版』(共著・スタンダーズ)。
 

深野康彦
ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルリサーチ代表。クレジット会社、独立系FP会社を経て独立。マネー商品に精通する資産運用の専門家として、さまざまなメディアで活躍し、わかりやすい解説に定評あり。近著に『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)。
 

撮影=amana images 写真=iStock.com

元山 夏香(もとやま・なつか)