メンテナンススペースは整然とし、作業が丁寧になされている。ささいなことにも手を抜かい精神はここでも貫かれている。

ささいなことにも手を抜かない

——お客様が増えたうえ、お客様満足度全国ナンバーワンのディーラーとしても注目されました。

【横田】1980年の発足当初からお客様の満足ということを意識して、取り組んできました。

メーカーのトヨタがお客様満足度の調査を始めたのが1999年です。お客様満足度の指数が、他のディーラーを圧倒的に引き離している状態が10年間くらい続いたでしょうか。その後、他のディーラーもお客様満足度向上に取り組むようになったので、現在はトップグループの1社という位置づけですが、相談のしやすさ、担当営業の接客マナー、点検・整備の意向、待合スペースの快適さなどは依然として高いスコアを維持しています。

このような状態を続けることができているのは、創業以来「ささいなことにも手を抜かない」という精神が脈々と流れているからです。社訓にこううたっています。「当たり前のことを人並みはずれた熱心さで実行すること。これが凡人と非凡人の違いである」。これが他社との微妙な差を広げていく力となるんです。野球のイチロー選手が「小さなことを積み重ねることが、とんでもないところに行くただ一つの道」と何度も言っていますけれど、まさにその通りです。

——ところで、2つ目の販売拠点を出したのは25年経ってからですね。現在でも販売拠点は3つです。これには理由があるのでしょうか。

【横田】高知県の事業規模ですと、開業して4、5年の間に5拠点くらいつくるのが業界の標準です。たとえば、ネッツトヨタ南国の本社からほど近いトヨタ系販売店は、高知県内に9拠点を構えています。

ネッツトヨタ南国にも立ち上がってまもなく、メーカーから2番目の拠点づくりの打診がありました。提案があった場所は、高知県で高知市の次に大きい都市の一つである中村市(現在の四万十市)です。

面積が香川県と同じくらいある広い地域で、人口は3万5000人、高知市からは車で約2時間の場所に位置します。

もしその地域に2番目の拠点を出せば、月10台くらいは売れるでしょう。しかし、そのうち7台くらいは他のトヨタ系列ディーラーから買っているお客様の購入分。拠点を出したことによる純増は3台程度です。そのために新規に投資をし、人を採用したり、高知市にいる社員を転勤させないといけない。利益が多少上がったとしても、売り上げに比例して上がらなかったら、社員を余分に採用した分、昇級や賞与に響いてきます。また、われわれが掲げる社会貢献として、お客様を幸せにする、次がビジネスパートナーのメーカーを幸せにする、ということがあります。販売拠点をつくっても、月の販売純増が数台しかなく、競争が激しくなった分値引きが大きくなって利益が減ってしまう。これではメーカーに貢献することにはなりません。そういうことを総合的に判断して、拠点づくりよりも本社の販売を増やすことを考えました。

——メーカーのトヨタはそれで納得したのですか。

【横田】こちらの考えを伝えて、話し合いを続けました。担当者が2年で変わるので、新しい担当になったらまた同じようにこちらの考えを伝える、それを繰り返してきました。

——そう考えていた横田さんが2つ目の拠点を出すことにしたきっかけは?

【横田】創業時の1980年から私が採用を担当していましたが、8年目に採用した社員が店長を任せても大丈夫というところまで育ってきました。それで高知市内に2番目の拠点を出すことにしたのです。それが2005年、創業25年目のことです。そのときに店長に抜擢したスタッフが今は社長になっています。

(構成=PRESIDENT経営者カレッジ事務局 撮影=小川 聡)