選ぶ基準は「数」ではなく「愛」

そこでよく用いられるのが、SNS上で情報発信力をもつ「インフルエンサー」の活用です。ワークマンも、16年9月、初めて「ブロガー向け商品説明会」を開催しました。また18年からは、ブロガーではなく「インフルエンサー」との呼称に改め、「いまではアウトドアやファッション、バイクなど、幅広いジャンルの情報を継続的にネット(SNS)上にアップしてくれそうな男女を、探し出しています」と、丸田さんは言います。

ここで重要なのは、ワークマンが選ぶインフルエンサーの基準が、フォロワーの「数」の多さではないこと。

丸田さんいわく、あくまでもワークマンプラスへの「愛」があるかどうかが判断基準で、「ワークマンプラスと一緒に成長していきたい」とのスタンスを持ってくれているかどうかに注目している、とのこと。

そんな「愛」あるインフルエンサーを、どのように発掘しているのか。私は次の言葉を聞いて、驚きました。

「はい、基本的にはわれわれによる手作業です。外部に委託するケースもありますが、過去の投稿を基に、自社でエゴサーチなどをかけて、一人ひとり検索して探しています」(丸田さん)

水増しインフルエンサーに要注意!

恥ずかしながら、私も今年5月から、インスタグラムを始めました。

利用するようになって、分かったことがあります。それは、失礼ながら「この人、誰?」と、マスコミではその名を知られていないような男女が、インスタで既に数万人のフォロワーを抱えていること。彼らの投稿には、1つあたり数千件や数万件の「いいね!」が押されることも多く、それだけ拡散力があるのは一目瞭然です。

ですが一方で、一部には違法なやり方で、フォロワーを増やそうとする男女や、その欲求に付け込もうとする業者の陰も、見え隠れします。それが、「水増しインフルエンサー」。

今年(19年)5月、NHKの取材班が報道した記事によると、某化粧品会社が4万人のフォロワーを持つある女性にアプローチし、投稿と引き換えに4万円を支払ったものの、よく調べてみるとその女性のフォロワーの中に「日本人女性」(ターゲット)は、わずか400人程度しか含まれていなかったそうです。

考えられる理由は、2つ。1つは、その女性が怪しい業者から、何らかの有料サービスを利用して、意図的にフォロワーを「買った」から。もう1つは、「フォロワーが増えます」などとうたうフリーソフトを利用したことで、自動的にフォロワーが増えたから。

後者の場合、本人も気づかぬうちに、怪しいフォロワーが増えるとともに、自身の情報が抜き取られていることもある、とのこと(19年5月21日NHK「News Up」)。