2019年のナンバーワンヒット候補のブランド

インフルエンサーとタイアップする企業と聞いて、まず思い浮かべるのは、若い女性向けのファッションやコスメでしょう。また、インフルエンサーの特性から考えると、フォロワーの数が多ければ多いほど、インフルエンサーとして有効に思えますよね。

ですが、そうとは限りません。その好例が、ワークマンのブランド「WORKMAN Plus(以下、ワークマンプラス)」。スポーツやアウトドアシーンで着用できる、レインウエアやスポーツウエアを展開する店舗で、昨年末にはフランス生まれのスポーツ用品店「デカトロン」と共に、「2019年のナンバーワンヒット候補」とも言われました。

その予測通り、今年に入って見事に大ブレーク。いまや、ワークマンプラスと聞けば、多くの人が「お洒落しゃれなアウトドアの店」とイメージするでしょう。

一方で、その全員が「母体のワークマンって、もともと工事現場などで働く人たちが愛用する、作業着や作業用品の専門店でしょ?」と把握しているかといえば、必ずしもそうではないと思います。

ではなぜ、作業着・作業用品の専門店が、まったく別のイメージで多くの消費者に受け入れられたのか。そこには意外とも言える、同社の地道な「インフルエンサー戦略」がありました。

“作業服屋”が見つけた新しい顧客

ワークマンの創業は1980年。現在、国内に800以上の店舗を展開し、毎年概ね、前年比105%の売上増で推移してきたそうですが、「この先、作業服だけを販売していても、やがて限界が来るかもしれない」と感じていたと、同営業企画部・販売促進グループの丸田純平さん。

明るい色の商品も充実

そこで従来とは違った顧客、すなわち一般客や女性客を取り込むことで、新たな需要を喚起しようと模索し始めたのが、2015年ごろ。このころから、自社独自のプライベートブランド(PB)商品の開発に力を入れるようになった、とのこと。

すると、防水をうたった同社のあるブランドが、「意外な人々」に支持されているのが分かったと言います。

ブランド名は、「AEGIS(イージス)」。もともとは、東北の農家が農作業時の防寒用に身に着ける、防水をうたった作業服ブランドでした。従来、ワークマンは同ブランドで、黒など地味な色ばかりを展開していましたが、たまたま「さし色」として明るいライムグリーンの作業服を売り出したところ、目立った売り上げを上げるようになった、とのこと。