下腹部の温め、筋肉トレーニングで、ホルモン分泌を調整
「タイプ別・老化の原因」
この時期は、今まで養生してきた成果がカラダにも表れてくる時期です。特に肌はホルモンのバランスや免疫機能、さらにはココロの状態などを色濃く反映しやすいため、この時期にアンチエイジング対策を行うことは重要です。
特に、一生懸命頑張りすぎている頑張り屋さんタイプの人は、交感神経が亢進しているために、骨盤内臓器に血液が流れにくい状態が続いています。そのため、下腹部を温めて骨盤内臓器の血流を良くし、ホルモンの生産性を高めるようにしましょう。
生活リズムの乱れることによっておこる生活習慣タイプの人は、マザーホルモンと呼ばれるDHEAを取るようにしましょう。DHEAは、デヒドロエピアンドロステロンというヒトの体内に存在するホルモンの略称で、主に体内の副腎皮質で分泌されています。体内で性ホルモンをつくるための原料となるため「マザーホルモン」と呼ばれています。分泌量は思春期に急激に高まり20代でピークを迎えますが、その後急激に分泌量が減少し、40代では約半分、80代ではほとんど分泌されなくなってしまいます。
年齢による加齢タイプの人は、強度の高い筋肉トレーニングを行いましょう。激しい運動や筋トレはテストステロンを分泌し、そのテストステロンは女性ホルモンであるエストロゲンに合成されます。テストステロンは精巣以外の副腎皮質でもつくられることから、女性でもトレーニングを行えば、女性ホルモンが分泌されることになります。
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「タイプ別・老化の対処法」
頑張り屋さんタイプの人は、お腹や仙骨の周りにカイロやお灸をしてみましょう。(図表2)。もし手で下腹部や仙骨部を触り、暖かいと感じる場合は、骨盤内臓器の機能が低下している証拠。まずは夜に下腹部にお灸を行うことで内臓機能を高め、その後は下腹部や仙骨にカイロを貼り、血流の状態を良くするようにしましょう。
生活習慣タイプの人は、DHEAが多く含まれる大豆を摂取しましょう。DHEAには、免疫力を高めて病気を予防、筋肉量を増やしダイエットを促す、ストレスを軽減しうつを改善、不妊を改善するなど、さまざまな作用があります。1日50mgが基準であり、納豆1パックには65mg、お豆腐2分の1丁に55mg含まれているとされています。
加齢タイプの人は強めのバンザイをしながら行うスクワットがお勧めです。まず、足を肩幅程度に広げて両腕を真上に上げ、その姿勢を保ったままゆっくりヒザを曲げ、太ももと床が平行になるまで腰を落します。腰を落とした位置で2~3秒キープし、ゆっくりヒザを伸ばしながら元の位置に戻します。この運動を1日10回程行うと良いでしょう(図表3)。
秋分は、秋から冬へと移り変わる最初の季節。昼よりも夜の時間が長くなるとともに、今まで育ててきたものを収穫する時期でもあります。ホルモンなどの物質は、食べ物だけでなく、規則正しい生活を続けなければ、生産されません。そのため、この時期に生活を見つめ直し、足りないものを補うことでホルモン調整を行うことが大切です。
「秋分の特徴」
●心身の症状
カラダ:ホルモンバランスの乱れ、皮膚の症状
ココロ:気持ちが充実する
●季節に多い症状
皮膚症状(老化)
●心身の養生法
糖化を防ぐ(AGE)
●食養生に効く食材
サンマ、唐辛子
●ツボ
養老
写真=iStock.com
鍼灸学医学博士・全日本鍼灸学会理事。同大学附属鍼灸センター長。トリガーポイント鍼治療の第一人者であり、慢性痛の緩和治療に精通。現代女性のための、東洋医学に基づく心身のセルフケアも指導している。