4.モノの選び方

住まいは利便性を重視。買うときは資産として売る前提で選ぶ

支出は消費より投資の割合を増やすべしとは「お金の哲学」の項で述べた通りだが、住宅購入は投資の最たるものだと加谷さんは言う。

「そもそも住宅は“不動産”であり、収益を生み出すもの。経済的に成功している人たちのほぼ全員が、投資の視点で住宅購入をしています。お金を増やしたいと考えるのなら、周辺の賃貸相場から利回りを計算したり、同等の物件の中古価格を調べたりして、利益を生み出せる物件を選ぶべきでしょう」

では、投資効果が高いのはどのような物件なのか。最も重要なポイントは立地だ。東京でいえば都心もしくは都心からあまり遠くないエリアで、なおかつ駅に近い物件だ。となるとおのずと、一戸建てよりマンションに絞られてくる。こうした物件は通勤や生活の利便性が高く日々快適に暮らせるばかりか、生活費のコストダウンもはかれるという。

「私自身、都心のオフィスから徒歩圏内に住んでいますが、今の家に引っ越して飲みに行く回数が激減しました。家まであと1時間と考えると、その前に一杯という気分になりますが、すぐ近くだと家に帰ってくつろごうという気分になるんです。通勤の時間つぶしに買っていた本代も減り、靴も長持ちするようになるなど、いいことずくめです」

“ヒカリモノ”は自分へのご褒美ではなく、自分を魅せる手段

ブランドもののバッグや服、高級時計といった“ヒカリモノ”は、自分へのご褒美の定番。身につければ気分が高まり、満足感も得られるが、その分、手持ちのお金は減っていく。貯蓄を増やしたいなら買うのは控えるべきという結論になるだろうが、「自分を魅せる手段としてなら買ってもいい」と加谷さんは言う。

「大きなお金を稼ぐ人たちは、“ヒカリモノ”を自己演出の道具として上手に活用しています。人の印象は見た目に大きく左右されるので、良いものを身につけているとお金に余裕がある人と印象づけられ、信頼感につながります。結果、交渉力を高める効果が期待できるのです」

一方で、“ヒカリモノ”には内面的な影響も少なくないという。良いものを身につけたとき、気持ちが引き締まり、自信が生まれた経験を持つ人は少なからずいるだろう。その自信によって堂々とした振る舞いができれば、それもまた交渉力に結びつくというわけだ。

「もちろん、背筋をピンと伸ばす、人の目を見てはっきりと話すなど、身につけたものにふさわしい身のこなしを意識することも大切です。お金持ちの人たちはそうした見栄えを考え、意識的に堂々と振る舞うようにしています。レストランでサーブを受けたときにも『ありがとう』の言葉を忘れません。そうしたコミュニケーションのテクニックは、まねして損はありません」