20代後半で迫られる究極の選択
「タレントとしての自覚」なんて書いてしまうと勘違いしていると言われそうですが、これはそのように見られている、という意味です。
女子アナが結婚や恋愛など本業とは関係の無い部分で注目を集めてニュースで取り上げられると、アナウンサーはタレントじゃない、勘違いするな、といった反応が多数あります。ただ、それを最も強く自覚しているのは女子アナ自身です。それでもそうは言っていられない働き方を強いられるのが女子アナという職業です。他局の女子アナを見ても、期待に応えようと必死で頑張っているだけなのに「勘違いしている」と批判されてしまう人もいます。
こんな状況ですから、当時は「まだ20代で未熟な私が結婚なんてしたら降ろされる」と思い込んでいました。そう思い込んでしまうほど仕事最優先の環境にいたということです。
20代も後半になると新人特需も消え、仕事の多くが徐々に後輩へ引き継がれていきます。それでもこの仕事を続けたいのか、這い上がりたいと思えるか、それが試される時期を迎えます。その選択は結婚を諦めてでも仕事を極めたいのか? という究極の選択でもあります。
その二択なら私は母になる夢はあきらめたくないと考えました。
「女の仕事=家庭に専念」という男性の偏見
友人のおかげで結果的に素敵な男性と会う機会もありました。ただ、そこで耐えられなかったことが、相手によって表現は違えど「俺が仕事に集中できるように家庭を守ってほしい」という共通した希望と期待です。
私が結婚して叶えたいことはそういうことなんだろうか? 適性があるのかもよく分からないまま続けてきた仕事でも、結婚して誰かを支える道を選んでしまえば、今までの頑張りがすべて失われてしまう……。仕事からプライベートへ舵を切ろうと考えたものの、リアルにその状況が眼前に迫ってくると強烈な違和感を覚えることになり、途方に暮れてしまうのでした。
結局そんな状況で積極的にパートナーを探そうと思えるはずもなく、フェードアウトするようにプライベートも停滞していきます。仕事もプライベートもどっち付かずで何ひとつ上手く行かない……。