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L2はおそらく最も重要な段階ですが、ここで個人は実際に事業に携わり、いちばん大切な価値観を学び、前の世代の哲学を受け継ぎながらも、変えるべきは変えて、事業を存続させていくことを学びます。L3は現役から次世代へのトランジションです。二つの世代が共同でリードし、それぞれがビジネス、ファミリー、および自分自身に対する非常に必要な洞察を蓄積していきます。

現役リーダーにとって最も困難な学習がL4です。先を見越して、自身が去ることを通じてビジネスを導く必要があります。退いた後は別の役割、おそらく「大使」のような対外的に重要な役割を果たすことが望ましい。そうすれば、次の世代がビジネスに専念することができます。簡単なことではありませんが、最高のリーダーはL4をやりきることによって、ファミリービジネス継続の可能性を高めることができるのです。

後継者を試す4つのテスト

もう一つは4テストアプローチです。これはノースウエスタン大学ケロッグ経営大学院教授のイヴァン・ランズヴァーグによってハーバード・ビジネス・スクール・レビューに紹介されました。イヴァンは、承継者には4つのテストがあるといいます。

①適格性テスト:学歴、職歴、受賞暦、仕事における実績など
②自己評価:ステークホルダーに対して自分で設定した期待値。言行一致しているか③状況テスト:労使対立、経営者の不慮の死、困難な経営課題への取り組み方
④政治テスト:社内の抵抗勢力への対応

ジャスティン・B・クレイグ、ケン・ムーア『ファミリービジネス経営論』(プレジデント社)

現役世代が潜在的なリーダーを評価するときに、これらの4つのテストを通じて人物の適正がある程度浮かび上がります。次世代のリーダー候補は、この種のテストによって評価されることを念頭に準備する必要があります。それはビジネスやファミリーのリーダーシップを培うのに役立ちます。重要なことは、このテストは生涯にわたって繰り返し行われるということです。

ファミリービジネスが世代を超えて継続していくためには、ファミリメンバーが事業またはファミリー、あるいはその両方に有意義な方法で貢献する準備、意思、能力を備えていることが重要なのです。