そこは牧草地が広がり、りんご栽培や養蜂も行われる、典型的なフランスの田舎だ。食堂やリビングを備える大農家の母屋が、利用者を温かく迎えてくれる。オフィスの設備が整うメインのシェアオフィスや、木工製品などのものづくりができるアトリエは、納屋を改装した別棟にある。Wi-Fi環境のおかげで、敷地内の好きな場所で仕事ができる。

仕事に疲れたら、周囲にはひと息入れる楽しみがある。近隣で乗馬をしてもいいし、菜園ですくすく育つ有機野菜や、新鮮な卵を産む放し飼いの鶏を見ながら散歩するのもいい。こうした田園のバカンスを兼ねての利用も多く、work(仕事)とvacation(休暇)を掛け合わせた「ウォーケーション」という新語も登場した。

ヴィラージュのエコな環境づくりは常駐するスタッフが担い、利用者の滞在をきめ細かくサポートしてくれる。スタッフと利用者全員で大テーブルを囲み、有機野菜を使った料理とワインをたしなみながら、時には夜中まで語らうこともある。個人主義を重んじるフランス人だが、彼らは深く語り合うのが好きなのだ。

意見交換を楽しみに、リピートする利用者も多い

「世代の異なる多分野の人との意見交換を楽しみに、リピートする利用者も多いですよ」

こう語るのは、責任者のクレモンス・ベルリンゲムさん。

フリーランサーや起業した個人が集うこともあれば、企業の一部署が借り切り、親睦や企画の立案のために訪れることも。他者との直接的な関わりが生む思考やエネルギーは、現代のコミュニケーションツールだけでは得られない。そんな原点回帰の場としても人気を博している。

1 まるでお屋敷のような、ヴィラージュの外観。空気が美味しい! 2 田舎家の風情があるリビングで仕事をしても。3 宿泊は相部屋か、落ち着ける屋根裏部屋の個室のどちらかを選べる。4 3Dプリンターのほか、必要機材を備えるアトリエで製品作りも可能だ。

監修=寒河江千代 撮影=村松史郎

プレジデント ウーマン編集部