“小さな幸せ”のために働く

では何のために働くのか。「働く目的」を尋ねた質問では「経済的に豊かになる」が28.2%。2000年にはトップだったが、01年に「楽しい生活をしたい」が上回り、その後もゆるやかに上昇し、2017年は42.6%、今年も39.6%と最も多かった。だが、楽しい生活をするにしてもそれなりのお金が必要なはずだ。

岩間氏は若者が考える「楽しい生活」の意味について「楽しいといっても大それた遊びやレジャーをしたいとか、ぜいたくをしたいということではなく、もっと個人的な小さな幸せの実現です。多少のゆとりのある充実した人生を送りたいという思い」と分析する。人並み以上に働いて多くの報酬を得るよりも、人並みの働き方で得られる報酬の範囲内で得られるささやかな人生の幸せを大事にしたいということだろうか。

令和時代に必要なマネジメントとは

もちろん幸せや楽しさは人によって異なるし、それはそれで結構なことであるが、企業の経営者にとっては「人並みで十分」の働き方では困ると思うだろう。報酬や昇進はもはや働くモチベーションにつながっていないと述べたが、ではどこに焦点を当てて働く意欲をかきたてればよいのか。岩間氏は若者の関心は「自己実現」にあると言う。

「自己実現みたいなものが若者の関心の中心になっていく傾向があります。しかし、自己実現といっても何か夢物語みたいな世界ですし、よくわかりません。物の豊かさは目に見えるし、手に触わって実感できますが、自己実現は、今日は充実していても明日はどうなるかわからないような曖昧な要素を含んでいます。でも若い人たちもどうすればモチベーションを維持できるのか、心の中で葛藤しているのです。それが働くモチベーションの中核になっているとすれば、企業戦士を知っている世代からすればもどかしい、歯がゆいと感じるでしょうが、歯がゆくても、どうしようもない現実であり、そういう前提でマネジメントを組み立てる必要があると思います」

確かに上司や先輩が個々の新人の「自己実現」をかなえる方向に導くことはかなり難しい。ましてや昭和の時代のように悩んでいれば、飲み屋に誘って励ます“飲みニケーション”も通用しないだろう。新入社員の揺れ動く心の葛藤に常に寄り添い、ちょっとでも方向性を見失いそうになれば助言をしながら微調整していく細やかなマネジメントが求められている。

令和の新入社員に対して、昭和・平成流のやり方が通用しないと言って一方的に毛嫌いするのではなく、いかに活用できるかが、今後の企業の成長を大きく左右するだろう。

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