お店は小さいままでいい。顧客との交流が私の財産になっている
近代的な高層ビルと古い倉庫街が共存するロンドンの一角、観光地としても有名なタワーブリッジの近くに、クレア・エドブルックさんの自宅兼サロンがある。しかしサロンの看板も名前も出ていない。自身と2人のスタッフ、パートの事務員と、4人だけの店構えだ。
もともと人に使われる仕事に興味がなく、自分のビジネスをいつか立ち上げたいと思っていた。大学では音楽を専攻したが、音楽で稼ぐのは容易ではない。そこで以前から興味があり、ロンドンではまだまだ店舗数が少なくビジネスチャンスがある、まつげエクステンションのサロンを始めた。3年間の技術取得コースに通って資格を取り、自宅の2階を改装して開業した。
「一人一人、目の形やまつげの生え方が違い、お客さまの要望は異なります。丁寧に話を聞き、求められているものをきちんと理解すること、さらにコミュニケーションをとって良好な関係を築くことも大事です」
技術はもちろん、施術者の人柄も店の魅力となるのだろう。リピーターが多く、顧客は口コミで増えている。しかし、ビジネスの拡大にはあまり興味がないというクレアさん。店を大きくすると顧客との関係性が希薄になり、友達の家に来たような、小さなサロンだからこそできるサービスの質が低下するかもしれないと危惧しているからだ。
「大都市ロンドンの中心部ですから、世界を股にかけて働く方もやって来ます。忙しい時間からスイッチオフして、施術後の変化に満足していただきたいのです」
また、顧客との時間は、クレアさんにとっても宝物となっている。
「私生活で辛いことがあった方も来店されます。彼女たちと悲しみや喜びを共有することで、人生には何が大切なのか知ることもできました」
一方で好きな音楽を捨てたわけではない。音楽は彼女にとって「パッション・プロジェクト」。情熱を注げられる対象だ。時間があれば常に曲作りに励み、カクテルバーでギタリストの弟とともにライブ活動も行う。12曲の映像つきアルバムトラックの配信が2019年の目標だそう。公私ともに精力的な活動が続く。
6:45 起床後、ゆっくり身支度。
7:00 紅茶とバナナの朝食。
7:30 その日に来店する顧客のカルテなどを見て準備をする。
8:00 施術を始める。
13:00 昼食。顧客からの電話メッセージを聞き電話する。
13:30 再び施術。
21:00 サロンを片付ける。
21:30 軽めの夕食。
22:00 なるべく毎日曲作り。
22:45 1日の出来事を日記に書く。
24:00 読書の後、就寝。
▼my favorite
●好きな言葉→「諦めるな、絶対に、絶対に、絶対に」(イギリスの元首相チャーチル) ●愛読書→ティモシー・フェリス著『「週4時間」だけ働く。』
まつげエクステサロン経営
1982年、ヨークシャー生まれ。ウエストミンスター大学で商業音楽を専攻。卒業後は不動産関連やゴルフ場開発のフリーランス・コンサルタントになる。2014年に起業。