オフィス外ではアレンジして食卓に

中村さんによると、法人向けのサービス開始当初(2014年)は、「家庭への持ち帰り」需要を想定していなかったそう。ですが、あるテレビ番組で女性社員たちが持ち帰る様子が報道されたのを機に、似たような使われ方が広まったのではないか、とのこと。

最近は食卓でも活躍するオフィスおかん

「利用者は、持って帰ったおかんの商品をただレンジでチンするのではなく、『ちょい足し』や『味変え』で、アレンジレシピに挑戦しているようです。例えば、カツを卵とじにしたり、豚の角煮と切り餅を炊飯器に入れて、ご飯を炊いておこわ風にしたり、といった具合です」

その他、「次の日のお弁当用に」や、「両親の介護中、家事軽減のために」と持ち帰る女性もいるようだ、と中村さん。こうした社外も含めた利用で、従業員の「ワーク・ライフ・バリュー」の支援に貢献できれば、と言います。

社内のコミュニケーションも活発に

また社内でも、納会やランチミーティングなど「食」を通じたコミュニケーションの場でも役立っているそう。「同僚が、どんなメニューを選ぶのかな」などに注目することで、会話のきっかけ作りになるケースも多いようです。

 

健康経営の一環として

もちろん、利用者だけでなく企業側にとっても、オフィスおかんを導入する大きなメリットがあります。その一つが、従業員の「健康」と栄養バランスへの配慮。

皆さんは、最近よく使われる「健康経営」という言葉をご存じでしょうか。

もともとは、アメリカの臨床心理学者ロバート・ローゼン博士が提唱した理論(ヘルシー・カンパニー)に基づくもの。従業員が心身ともに健康であれば、会社の業績向上にもつながるはずだという視点です。

近年は経済産業省も、健康経営に取り組む企業を「見える化」する取り組みをスタートさせています。例えば、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践する企業を「健康経営 優良法人」として認定する、といった具合。

優良企業と認定されれば、その後の採用活動や株価の上昇等にもつながる可能性があります。もちろん、従業員のモチベーション向上など、社内の活性化にもつながるでしょう。