開会式寸前まで混乱が続いたが、無観客でなんとか開催された東京五輪。もちろん、我が家でもテレビに向かって声援を送ったし、参加した選手たちの頑張りには、本当に感動した。普段、スポーツにほとんど興味を持たない高校生の娘は、新種目のスケートボードに釘付け。五輪は多くの人をとりこにする、4年に一度のスポーツの祭典なのかもしれない。
24日には、パラリンピックが開幕した。開会式は、「WE HAVE WINGS(私たちには翼がある)」をテーマにして統一感があり、「オリンピックよりもよかった」との声が、ネットのトレンドワードにもなった。
さて、海外のメディアは今回の五輪をどう報じたのだろうか。そこから、今開かれているパラリンピック、そして今後に生かされるべきことを考えてみたい。
今までで一番「奇妙な大会」(Strangest Olympics ever)
「観客も拍手もまばらな閉会式。空中に浮かび上がった光の粒が五輪のマークに変わった。しかし、国立競技場にいた人には、それは見えなかった」という描写で五輪の締めくくりを伝えたのは、ニューヨークタイムズ。今大会を「近年の歴史で一番奇妙なオリンピックの一つ(One of the strangest Olympics in recent memory)」と表現した。
「それは、無観客で開催された、今までで一番奇妙なオリンピックだったのだろうか?」と報じたのはAP通信だ。ホスト国の日本人の多くが反対した「今までで一番怒りが大きかったオリンピック(angriest Olympics)」だったのか、コロナにおびえた「一番恐ろしいオリンピック(scariest Olympics)」だったのだろうかと問いかけた。
「復興五輪」だったのに
多くの海外メディアは、東京大会が「2011年の東日本大震災からの復興を象徴するものになる」と喧伝されていたにも関わらず、いつの間にかコロナとの闘いにすり替わっていたと指摘する。
安倍晋三首相(当時)が、2013年9月に五輪招致に向けた国際オリンピック委員会(IOC)総会で、「福島原発の状況は『Under control(制御下にある)』」と語ったことは、今でも多くの人の記憶に残っているはずだ。
「次々に起こる大惨事の中で始まった日本のオリンピック(Japan’s Olympics kick off amid a cascade of disasters)」という見出しで、五輪関連のCMを流さないと決めたトヨタ自動車の話や、開会式の演出を担当する小林賢太郎氏が、過去のコントでホロコーストをネタにしていたため開会式前日に解任されたことなどを報じたのは、ワシントン・ポストだ。
森喜朗オリンピック・パラリンピック組織委員会前会長の辞任から始まった一連のドタバタは、国際的なイベントだからこそさらに問題視されたという側面もあるだろう。日本の中だけの内輪の論理は、そろそろ終わりにしなくてはならない。