インスタ映えより、五感でしっかりと記憶しよう

こうした可憐で美しいカクテルを目にすると、思わず「インスタ映え」と、スマホを取り出しパシャパシャと撮影する人が多いが、バーでは基本的に撮影は慎むのが作法だ。

また、複数で来店した場合、気分が上がり、思わず大声になってしまうが、これも注意したい。さらに、観光で訪れた先でやりがちなのが、短パンや露出の多い服装での訪問。オーセンティックバーであるほど、こうした服装には注意が必要だ。

「周囲の方が不快な思いをしないように、それぞれのパーソナルな時間とメインの飲み物を楽しんでもらいたいですね」

また、オーダーの仕方がよくわからないからバーにはあまり……という女性も安心を。オーダーの仕方に型はない。その時に、どんなものが飲みたいと思っているか、素直な気持ちを伝えればいいと中垣さん。

「バーに対して先入観の少ない女性のお客様のほうが大胆にオーダーされます(笑)」

お酒の知識云々ではなく、純粋にカクテルを楽しみたいという気持ちが大切。もちろん、ノンアルコールカクテルであっても、さまざまなオーダーに応えて提供してくれるので、お酒が飲めない女性でも、存分にバーを楽しめる。

大人の知的好奇心を満たす、バーの夜

1杯目をゆっくりと飲み干したところで、2杯目は、「フルーツを使用したものを」とオーダー。

どんな飲み物が出てくるのかとワクワクして待つ時間も楽しい。その間、中垣さんはテキパキと仕上げていく。しばらくしてスッと提供されたのは、小ぶりのプレートに載ったシャンパングラスとハート型の銀の器に入った、これまたハート型の真っ赤なイチゴだ。

「スーヴィード レオナルド」1600円(税別)
 

一見すると、カクテルというより、グラスシャンパンとデザートとして添えられたイチゴのセットように見える。

「食べるカクテルをイメージしているんですよ」と中垣さんが教えてくれる。

クラシックなカクテル「レオナルド」をアレンジした、中垣さん考案の日本初「スーヴィード」カクテルだ。イチゴは、中垣さんこだわりのフレッシュな樹上完熟イチゴを真空で調理。口にすると芳醇なグランマニエがイチゴの隅々まで染みこんでいるのがわかる。シャンパンと相まって口中で「レオナルド」に昇華する。

思わずうなってしまう1杯だ。

カクテルは、バーを訪れる人たちの知的好奇心を満たしてくれるもの。

まさに「バーは大人の遊び(趣味)のひとつ」と、中垣さん。

遊びだからこそ、もっと楽しむために、たまには「締めのバー」ではなく、「最初にバー」を試してみてはいかがだろう。

きっとそこでの1杯は、これまでにないほど深く記憶に残るはずだ。

岐阜県・岐阜市にある1997年創業のオーセンティックバー。オーナーバーテンダーの中垣繁幸さんは、世界的なカクテルコンテストに2年連続優勝・入賞など、数々の賞を獲得している全国的に知られる存在。フルーツ王国・岐阜ならではのフレッシュなフルーツを使ったオリジナルカクテルや、革新的なカクテルが楽しめる。カウンター9席、テーブル席1つ。

BAROSSA cocktailier(バロッサ コクテリエ)
岐阜県岐阜市金宝町1-12 PORT-A 2F TEL=058-263-1099
営業時間=19:00~25:00 *Last in 24:00/LO24:30
休業日=月曜(月曜が祝前日の場合、火曜休み)
※一組3名まで(テーブル予約は最大5名まで利用可。※前日までの予約が必要)
※飲食代金のほか、チャージ料1000円と消費税が別途かかります。
※分煙(カウンター:全席禁煙、テーブル席:電子タバコのみ可)

撮影=田子芙蓉