前回の戦国武将を巡る旅に続き、今回は、芸術と文化に触れる岐阜旅第2弾をお届け。「東西文化の分岐点」岐阜で息づくアート文化とは?

岐阜の旅といえば、「飛騨高山」「白川郷」「ぎふ長良川の鵜飼い」「下呂温泉」などがメジャーどころ。だが、日本の中心に位置し、南北に長い岐阜の見所はそれだけではなかった。

岐阜は、7大産業(繊維・アパレル、プラスチック、陶磁器、紙、金属・刃物、加工食品)が古くから盛んであり、また伝統工芸も多く、それを現代アートに昇華させるアーティストたちもたくさん暮らしている。そのため、岐阜県内のあちこちには、芸術ゴコロを刺激するスポットが点在しているのだ。

まるで仏・ジヴェルニーのモネの庭!

今回は、岐阜のほぼ真ん中に鳥が羽を広げたような地形を持つ、関市からスタートし、美濃市、そして養老町を巡るアートに触れるちょっとレアな岐阜旅を敢行。

まず、関を訪れたら一度は行ってみたい人気スポットが、「名もなき池」(通称・モネの池)だ。フランスの画家、クロード・モネの名画「睡蓮」にそっくりだと話題になっている。

どこまでも透明な湧水池。そこに咲く美しい睡蓮の間をゆったりと泳ぐ、色とりどりの錦鯉たち。そのえもいわれぬ美しさはまるで「絵画」のようで、思わずうっとりと見つめてしまう。見頃は、6月から7月くらいの睡蓮の咲く頃。もちろん、秋の紅葉、冬の雪景色などでも、それぞれ違う池の姿を見られるため、季節を問わずリピートする人も多い。午前中、10~11時ごろの光の中で眺めるのがオススメだそう。

いずれの季節も多くの観光客でにぎわう、今、関で最も熱いスポットなのだ。

(左)初夏(右)秋
「名もなき池」
見学無料・終日解放
TEL/0581-57-2111(関市板取事務所)
岐阜県関市板取字下根道上448(根道神社)

日本刀萌え女子にオススメのスポットも!

関は、日本刀萌えの「刀(かたな)女子」ならぜひ訪れてもらいたい、刃物の町。言わずと知れた、日本一の刃物産地として発展した町で、関鍛冶(せきかじ)と呼ばれる刀剣の名匠が古くは鎌倉時代から活躍しきてきた。伝統を受け継ぐ刀剣はもちろん、現在は、包丁やナイフ、ハサミ、カミソリなどさまざまな製造品を、世界各国へと輸出している。

関鍛冶の伝統の技を伝える「関鍛冶伝承館」では、室町時代後期に活躍した、孫六兼元・和泉守兼定(まごろくかねもと・いずみのかみかねさだ)などの名工の日本刀や、その製造工程の資料を展示。古式日本刀の鍛錬の実演も月に一度公開している。

「関鍛冶伝承館」
営業時間/9:00~16:30
休館日/火曜・祝日の翌日
入館料/大人300円
TEL/0575-23-3825
岐阜県関市南春日町9番地1

関に来たらぜひ名店の「ウナギ」に、舌鼓を!

岐阜でウナギ? と驚く人もいるかもしれないが、「ウナギ」の名は、「鵜が難儀する(うがなんぎする)」に由来するという説も……。それゆえか、鵜飼いが盛んな岐阜市、関市などではウナギの名店が軒を連ねている。さらに、関は古くから刃物の生産地であるため、刀鍛冶たちの力の源としてウナギが食べられてきたとも言われている。

関市内には、“関うな丼”が食べられる店が30以上もあるといわれ、街を歩けばそこかしこからあの香ばしい香りが漂ってきて、いや応なく「ウナギ食べたい」スイッチが入る。

ちなみに、東京ではウナギと言えば「うな重」をイメージするが、関では「うな丼」が主流。「え? どんぶり?」と決して思ってはいけない。

写真は、「うなぎの名代 辻屋」のうな丼。幕末より続く老舗のウナギ専門店だ。外はパリパリ、中はふんわりの、蒸さずに仕上げる関西方式の焼き方だ。うな丼2610円~