バー文化発祥の地・横浜は個性溢れる名店の宝庫
日本のバー文化発祥の地ともいわれる横浜には、今もさまざまな個性あふれるバーが存在する。その中からどこに行こうかと悩むのもまた楽しみのひとつだ。
この日、取材が終わったのは夕刻。飲むにはちょっと早いものの、せっかくの横浜。このまま帰るのはちょっと惜しい。そこで17:00からオープンしている馬車道の「カサブランカ」へ寄ってみることにした。
雑居ビルの階段を降りると、目の前に本棚を模した扉が現れる。店内の様子が見えないため、毎回少し勇気がいるものの、扉を押せば、心配していたことがおかしくなるほど、アットホームな雰囲気が迎えてくれる。このバーはカウンターのみの全11席。そのため4人以上のグループ客はお断りするというのがポリシー。静かに飲みながら、気持ちをオフモードに切り替えるには最適だ。
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このバーに来たらぜひオーダーしてもらいたいのが、フルーツカクテル。旬のフルーツを選んでカクテルをオーダーするスタイルのバーは今では珍しくないが、ここでは25年前の創業時から提供しており、オーナーバーテンダーの山本梯地(だいじ)さんは、フルーツカクテルのジャンルを世に広めた第一人者でもある。
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カウンターにあるフルーツカクテルのメニューを開くと、イチゴ、イチジク、ユズ、安納芋など、旬のフルーツや野菜ごとに分類されて、それらを使用したカクテルが列記されている。さて何にしようかと悩んでいるところで、お通しがわりのコンソメスープが出されるのもここの特徴。
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「昔銀座にまずミルクを出すお店があったと聞いたんです。お酒を飲むお客様の胃腸を守る意味があったらしいのですが、そこから派生してコンソメスープを出すバーが当時、いくつかありまして、その流れでうちでも出しています。何も食べていなければ、少しお腹が満ち足りますし、食後に寄られた方なら胃腸がリセットされますから」
確かに温かいスープをひと口すすると、“ふうっ”と一息ついた気分になる。お腹も気持ちも落ち着いたところで「冬から初春のフルーツはまもなく終わってしまうので、楽しむなら今が最後ですよ」との提案で、まずは「金柑(キンカン)のカクテル」をオーダーすることに。