2018年は森林問題解決の、土台づくり

「オンライン販売を始めましたが、実際に立ち寄っていただき私たちの思いを伝える場所、“和える君”の家が必要でした」

東京と京都に直営店を開き、そこに80を超えるアイテムが集う。例えば津軽塗りの“こぼしにくいコップ”は段差をつけ、手の小さな子どもが両手で持ったとき、指で支えやすく落としにくい形にしてある。

「なんでこの値段なの? というご質問に対して、なぜこのデザインか、なぜ伝統の技を活かしたのか、その意味を私たちはお伝えしています」

ジャーナリスト、“伝える職人”としての使命感が根底にあるのだ。現在、商品の原材料の原木や漆の生産に挑む“aeru satoyama”事業の構想がある。一企業が1つの山を育むビジネスモデルを確立できれば、日本の森林問題の解決につながると矢島さんは意気込む。2018年はその土台づくりをし、以後は本格的に事業着手したいという。

「伝統文化を継承し定着させるには長い時間がかかります。ただひたすら伝え続けるだけです」

【座右の銘】
「三方よし」。
買い手を第一に、売り手、世間の3つに利益があることを考えた、近江商人の考え。
【ハマっていること】
社交ダンス。映画『美女と野獣』のダンスシーンが大好きで、大人になったらワルツを踊りたいと熱望。
【好きな本】
陰翳礼讃』谷崎潤一郎著/創元社ほか
【プライベートの野望】
創造のアトリエを生み、自身の考える豊かな暮らし。

撮影=佐伯慎亮