TICAD 9で開かれた皇居での茶会
8月22日から25日にかけて、第9回アフリカ開発会議(TICAD 9)が横浜で開催された。TICADとは、日本が主催するアフリカの開発をテーマとした国際会議で、国連や世界銀行が共催している。はじまったのは1993年のことで、細川護煕内閣の時代である。
人類発祥の地とされるアフリカは、今や世界の注目の的であり、近年の経済発展はめざましい。私が専門としている宗教の世界でも、アフリカでの布教に力を入れているところがある。とくに最近新しい教皇が誕生したカトリック教会は、他の地域で劣勢に立たされていることもあり、アフリカでの布教に熱心に取り組んでいる。
その点でTICADの試みは回を重ねるごとに重要性を増しているが、それにあわせ、皇居では天皇夫妻がアフリカ各国の首脳らを招き、茶会が開かれた。その場には、愛子内親王をはじめ女性皇族も出席したが、皆、和服姿だった。とくに愛子内親王が各国の国王夫妻に対して膝を落として挨拶し、敬意を示した姿は印象深く報道されている。
外交の武器としての女性皇族の和装
天皇や皇族による「皇室外交」は重要な意味を持っており、アフリカ各国とも密接な関係を築き上げてきている。現在の天皇は、皇太子だった時代の2013年、ネルソン・マンデラ元大統領が亡くなった際には南アフリカを訪れ、追悼式に参列している。
翌年には、日本とザンビアとの外交関係樹立50周年を記念して、秋篠宮夫妻が、ザンビアとタンザニアを訪問している。
愛子内親王も、昨年の2月には、ケニアの大統領夫妻を招いての昼食会に参加しており、これが、外国要人を招いた国際親善の場へのデビューともなった。
皇室外交において、女性皇族の着物姿は常に注目の的である。皇族の側も、それぞれの場でどういった柄や色の着物を選ぶのかに細心の注意を払っている。海外を訪問した場合には、訪問先の国の国旗の色や、両国の関係を象徴する花をモチーフにした柄が選ばれる。
着物は日本に独特なものである。当然、古代においては中国の影響を色濃く受けており、それは着物が「呉服」と呼ばれるところに示されている。呉とは、古代中国の国の名であり、そこから伝わった織り方の布帛(織物)のことを指していた。
中国の服装文化についての情報は遣隋使や遣唐使を通して日本に伝えられた。当時の中国の服装は上衣と下衣に分かれており、袖もゆったりしていた。日本でも、当時の貴族は、そうした中国風の服装をしていた。