今だから語れる管理職の醍醐味

今も自分には足りないことばかりと、反省しきりの荒井さん。仕事で行き詰ったときは、とりあえず身体を動かすという。外を走ったり、スポーツクラブで運動していると仕事のことを忘れ、汗をかいてスッキリできる。

ルネサンスが提案する健康づくり支援でも、最初はメタボ対策など義務感から始めた場合でも、気がつくとフルマラソンを走ったり、日々の生活でもスポーツを楽しむ人が増えているという。汗をかいて気持ちいいと思えたり、ちょっと頑張った自分をほめてあげたり、気持ちをプラスにもっていけるのが運動の効果。「ただ健康になるだけでなく、心の肯定感につながることをもっと感じてもらいたい」と、荒井さんはいう。企業で広がりつつある「健康経営」の推進にこれまで以上に力を入れていく。

社内では自ら管理職として従業員がいきいきと活躍できる場をつくることを心がけてきた。働く女性たちの中には管理職になることを迷う人も少なくないが、荒井さんならどうアドバイスするのだろうか。

「まずやってみたらいいと勧めます。自分が部下でいる時よりもっと広い世界が見えてくるし、部下の目線も持つことができるのでより多くの経験ができる。自分では築けない人間関係や新しい視点など、部下からもらうものも大きいのでありがたいなと思いますよ」

かつては自分も一歩踏み出せない時期があったが、そこを越えたことで荒井さんの「働きがい」もいっそうアップしているようだ。

荒井 恵津子(あらい・えつこ)
ルネサンス 執行役員 健康経営推進部長
1967年、埼玉県出身。91年 明治大学法学部卒業後、ディッククリエーション(2003年に社名をルネサンスに変更)に入社。「スポーツクラブ ルネサンス幕張」にてクラブ運営管理、「スポーツクラブ ルネサンス浦和」の新店立ち上げを担当。93年法人向けの健康支援の企画・営業部門に異動。特定保健指導、認知機能の低下予防などの省庁委託の実証事業や、企業連携による健康支援の事業、法人向けの健康支援の企画・営業を担当。

文=歌代幸子