社外で学ぶほうが効果的

ここで考えてみたいのは、自分の学びやスキル向上は誰の責任であるかです。海外では自分の教育費は自分で払うのが当然であることを踏まえれば、組織の中に研修機会がないのであれば、外に求めればいいのです。

ところが、日本では「自腹で学ぶ」カルチャーが決定的に欠けています。小学校から中学、高校、大学まで、国あるいは親が学ぶ費用を払ってくれて、会社に入ったら当然、会社が払ってくれるものだと考えています。ほかの国からはかなりおかしく見えるでしょう。学びたいことに対して自費で学ぶカルチャーをもっと持つべきだと思います。

その点、男性より女性のほうが自分の学びは自分の責任であるという意識が強いように思います。積極的に自分で学んだほうが、会社から与えられる研修機会を待っているよりもずっと学びの効果が期待できるでしょう。

無意識の思い込みが昇進の男女差をもたらす

私は、研修機会はさほど男女差がないと思う一方、上司が部下に重要な仕事を任せたり、上位のポストに引き上げたりといった“スポンサー機能”には差があると見ています。

男性部下のほうが女性部下よりもスポンサー機能が強く働きます。そこに影響を与えているのは、上司の「女性って仕事はそこそこっていう人が多いんじゃないの」といった思い込みです。最近よく耳にする無意識のうちの思い込み(アンコンシャス・バイアス)が原因となっているのです。

アンコンシャス・バイアスは統計的差別から生まれてきます。たとえば、これまで10人の女性を見てきて「女子に欲が乏しい」から、11人目も同じだろうという思い込みです。

今の時代、あからさまに男女差別をする上司はいません。しかし無意識のうちに、なんとなく女性を引き上げることが少なくなります。そういうメカニズムを知るためにこそ、管理職研修が必要です。アンコンシャス・バイアスが男女のフェアな仕事配分を阻害していることを自覚しなければ、スポンサー機能のゆがみを正すことはできません。