休みを通して本来の自分を取り戻す

【茂木】4月から年5日の有休取得も義務付けられました。休みをとることが明確にルール化されたわけですから、みなさんには上司に気を使わず堂々と休んでほしいですね。

【山本】有休も含めれば、生活の中でできる休息法ってたくさんありますね。茂木先生の缶ビールプランもそうですし、仕事中に瞑想するのもひとつの手。加えて、今は日帰りや土日だけで行ける自然体験プランも豊富です。

【茂木】生活の中でできることといえば、ガーデニングも脳にいいと実証されていますよ。植物を育てる、緑に触れる、手を動かすといった要素が、脳の活性化や感性を鍛えることにつながると言われています。休日に対する意識を、「家でゴロゴロする日」から「積極的に休息する日」へと変えれば、誰でも自分なりの「したいこと」が浮かんでくると思うんですよ。

【山本】本当にそうですね。大人だけではもちろん、家族で楽しめるスポットもたくさんあります。仕事が忙しい人ほど、休日にはそうした場所へ出かけて、本来のいい状態を取り戻してほしいと思います。

【茂木】最高の休み方とは、脳をしっかり休息させる休み方。大事なのは、ボーッとしたり仕事中とは違う体験をしたりすること。そのためにも、ぜひ自然の中に身を置いてみてほしいですね。休み明けのパフォーマンスが、きっと変わってくると思います。

茂木 健一郎(もぎ・けんいちろう)
脳科学者。1962年、東京都生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了。理学博士。第4回小林秀雄賞受賞の『脳と仮想』(新潮社)、第12回桑原武夫学芸賞受賞の『今、ここからすべての場所へ』(筑摩書房)、『脳を使った休息術』(総合法令出版)など著書多数。
山本 貴義(やまもと・たかよし)
そとあそび研究家。アメリカ・ワイオミング州にあるグランドティトン国立公園の大自然に感銘を受けたことをきっかけに、2004年7月、アウトドアレジャー専門予約サイト「SOTOASOBI(そとあそび)」を創設。現在も、年間100日はアクティビティを取材する日々を送る。

構成=辻村洋子