カフェやレストラン、自動車までサブスクが登場
サブスクリプション・モデル(略称:サブスク)は、元々は雑誌の「年間購読」などに用いられるスタイルでしたが、近年はIT系の商品やサービスに導入されるケースが増えています。たとえば、パソコンのソフトウェアや、通販・ネットショッピング等が展開する会員用のコンテンツなど。
よく知られているのは、「Amazonプライム」でしょう。年間または月間で一定金額を支払うと、迅速な配送特典を受けられるほか、提携する音楽・映像等を無料で視聴できるサービスです(私も、大のヘビーユーザーです)。
また最近は、カフェやレストランでも「サブスク」を謳う店が登場。自動車でも、トヨタが今年1月、サブスクをサービスとして提供する新会社「KINTO」を設立しました。展開するのは、3年間で1台のトヨタ車に乗れるプランと、6種類のレクサスブランド車を乗り継げるプランの2つ。同じクルマをずっと「所有する」のではなく、使いたい時に「選んで使う」ニュアンスです。
なぜいま、サブスクが注目を浴びるのでしょうか?
サブスクで“冒険”が可能に
1つは、日本の人口が減少傾向にあり、「多くのお客さまに来てもらおう」と考えても、さほど数は狙えないから。ならば「1人のお客さまに、質の良い商品やサービスを長く、何度も利用してもらおう」との視点で「定額制」にしたほうが、提供者側も安定収入が得られるからです。
もう1つは、先のクルマと同様、「1つのモノをずっと持ち続けるのではなく、気分によって使い分けたい」と考える消費者が増えたから。そして企業側も、そんな彼らの趣味嗜好を、AIを含めて継続的に管理・分析できる技術(システム)を手に入れたからでしょう。
もっともエアクロは、顧客の好みや「定番」だけを提供しようとは考えていません。天沼社長は、自社サービスのさらなる魅力を「レンタルゆえに、固定概念の枠を超えて“冒険”できること」だと言います。
利用者からは、こんな喜びの声も届くそうです。「周りに『いつもと雰囲気が違うね』と褒められた」「髪を切っても気づかない旦那が『なんかいいね』と言ってくれた」……。
一般に女性は、仕事で忙しくなると、あるいは結婚して子どもができると、ファッションにかけられる時間やお金が限られてしまう。でも自宅にいながら気軽に冒険できれば、人生の幅は広がります。似合わないと思い込んでいたデザインが、ある日、第一印象を上げてくれる「勝負服」に変わることもあるでしょう。
いろんなモノに挑戦できるサブスクサービスは、働く女性の従来の既成概念をガラリと変えてくれる、魔法のサービスかもしれません。
写真=iStock.com