教わった通り、呼吸に集中しながら坐った。みんなも同じ状態のようで、場内はしんと静まり返っている。試しに何も考えないように努めてみたけれど、うるさいほど心配事やら考え事が浮かんでくる。そこで和尚の言う通り、自分の感情を観察しながら、体は微動だにせず20分。

カーンと鳴り響く音が坐禅の終わりを告げた。深く呼吸をしていたおかげもあるのだろうか、心配事が消えたわけではないけれど、頭の中はクリアに。ざわついていた心も落ち着いて、気分は晴れやかになっていた。坐禅って、気持ちいい!

日常から切り離された空間で自分を見つめる時間は貴重なもの。試せばわかるよさがある。週末、鎌倉散策を兼ねてぜひ。

▼すーっと、心が落ち着いていく
1. 広大な円覚寺の境内には、いくつもの見どころがある。仏殿には、寺の本尊“宝冠釈迦如来”がまつられている。荘厳な天井絵も印象的。2. 坐禅をする一般人が履く、“居士”と呼ばれる下駄。3. 境内のいたるところに立つ地蔵。4. 坐禅のための道場「居士林」。昭和初期、東京・牛込にあった柳生流の剣道の道場を移築した建物だ。