それからは、自分のできること、できないことをきちんと仲間に伝え、「ここは助けてください」「ここはお任せします」という姿勢をはっきり示すようにした。すると、チームも良い雰囲気で回るように変わってきた。科学者でも引かれるのはキュリー夫人や野口英世のような、偉業を達成しているが人間味のあふれる人。強硬なリーダー像ではない。

「コンサルというと上から提案するイメージがあるかもしれませんが、お客さまには『あなたのサポーターです』という気持ちを最初にお伝えしています。常に成長意欲の高さが求められますが、自分らしく成長すればいいのだと肩の力が抜けたら、仕事が楽しくなりました」

The thing people help and this are human common obligation.
―Maria Sklodowska-Curie―
人々の力になること、これは人類の共通の義務なのです。


●マリー・キュリー(1867~1934)
ポーランドに生まれ、パリ大学で物理学と数学を学び帰国したが、1894年に夫、ピエール・キュリーと出会い拠点をパリに戻す。夫と協力して放射線を研究し、1903年にノーベル物理学賞、1911年にノーベル化学賞を受賞。パリ大学初の女性教授に就任。その後もキュリー研究所やラジウム研究所で研究と後進の育成に力を入れた。
当時の私
大学院を修了し、はかま姿で実験器具の前に。1つのことを突き詰めて研究する日々でした。寝る間も惜しんで研究する仲間たちからも多くの刺激を得ました。人の役に立つことを考え、何度も諦めず試していく姿勢は、今も同じです。

撮影=工藤朋子