コンサルタントとして働く長谷川万紀さんは、大学院まで有機化学の研究をしていた理系女子。幼い頃から自然に、1つのものをじっくり観察し、自分が気づいたことや発見をノートにまとめていたという長谷川さんにとって、中学生のときに読んだ『キュリー夫人』は憧れの存在になった。
「化学の力を人の役に立てるために寝る間も惜しまずに研究に人生を費やす。1つのことに没頭することと、人の役に立ちたいという思いは、どちらも私と共通する思いでした」
しかし、大学で自分よりはるかに研究熱心な人たちを見て、自分には別の道があるのではと考え直し、就職することに。
「社会を良い方向に変えようという人たちや企業をビジネス面でサポートしたいと思い、コンサルティングファームを選びました」
幼い頃から培われた問題解決への真摯(しんし)な姿勢を持つ一方で、常に笑顔を絶やさず人を安心させる柔らかさがある彼女。信頼も厚く、社内でも若手のプロジェクト・リーダーとなった。チームの中には年上や同世代の人もいて、最初は見栄を張って自分の経験に箔(はく)をつけようとしたり、強いリーダーシップを取ろうと悩んだ時期もあったという。
「先輩に相談したら、『柔和なコミュニケーションがあなたの魅力じゃない。だったら“あの人を助けてあげたい”と思われるリーダーになってもいいんじゃない?』と言われました。カッコつけてもしょうがなかったんだと気付いて、気持ちが楽になりました」