年金
払った以上にもらえる世代vs置いてけぼり世代

ニュータイプの置き去り世代が台頭

現在働く現役世代はみな、公的年金の恩恵を受けることができない。

年金保険料を「払った以上にもらえる世代」は60代以上。それ以下は「置いてけぼり世代」になる。

プレジデント誌は年金博士として知られる社会保険労務士の北村庄吾氏の協力のもと、年代別にもらえる年金をシミュレーション(表参照)。

さらに、会社員や公務員が加入する老齢厚生年金は現在、支給開始年齢が60歳から65歳へ段階的に移行している。男性なら昭和36年4月2日以降生まれ、女性なら昭和41年4月2日以降生まれは、完全に65歳支給となる。

ファイナンシャルプランナーの藤川太氏はこう指摘する。

「年金財政を立て直すために、加入期間や支給開始年齢をさらに引き上げようという動きがあります」

公的年金においては、将来の給付と負担の見通しを立てるため5年に1度、財政検証を行う。2014年にも行われたが、その際に制度改正を仮定した「オプション試算」が実施されたのだ。その内容は3つある。

40代未満は74歳まで働くしかない「置いてけぼり世代」に

1つ目は加入期間と受給開始年齢。現在、国民年金の加入期間は最長40年(60歳まで)だが、これを45年(65歳まで)とし、年金額を増額する。さらに65歳以降も働いた場合には厚生年金の受給開始年齢の繰り下げを選択すれば年金額が増額される。

2つ目はパート主婦の活用だ。現在、社会保険料の負担がない年収130万円未満で働いている主婦が多い。このバーを一気に引き下げ、主婦にも社会保険料を負担してもらおうという案だ。

3つ目は、現在支給されている年金の価値を減らしていく「マクロ経済スライド」の強制適用。現在は、物価が上がらなければ発動しないが、物価に関係なく適用しようというものだ。

「これらはおそらく導入されるでしょう。オプション試算にはありませんが、受給開始年齢自体が70歳まで引き上げられる可能性も高い。ただこれは法律の改正を伴うため、引き上げの影響を受けるのは、現在の40代前半よりも若い世代でしょう」(藤川氏)

とすれば、65歳から受給できる40代半ばの若い世代はさらに割を食う、新たな「置いてけぼり世代」になるかもしれない。

日本老年学会・日本老年医学会は17年1月、75歳から89歳までを新たな高齢者として定義しようとする提言を打ち出した。高齢者の再定義に伴い、新たな置いてけぼり世代は、74歳まで働かなければ老後生活が立ち行かない時代がくるのかもしれない。