どんなときでも、自分らしくありたい!
やりたい仕事ではなかったが、治療しながらルーティンワークを淡々とこなす。ホルモン剤の影響で更年期障害のような症状が出ることもあったが、おおむね体調は安定していたし、彼女の頑張りもあって、また大きな仕事を任されるようになる。しかし、5年間で標準治療を終えてほっとしたのもつかの間、肺に転移していたことが判明。
「結局10%の再発率の中に入っちゃったんです……。気がついたときには肺に水がたまっていました。入院して水を抜く処置をしてもらって、今は抗がん剤治療をしていますが、予断を許さない状態です。最初の発症時と違い、現在の上司は私の病気や働きたいという意思を理解してくれ、負担の少ない仕事を担当することに。それでもフルタイムの勤務は体力的にかなりキツイですが」
転移・再発した末期乳がんの5年後の生存率は約30%といわれる。しかし余命が何年だろうと、彼女は前を向いて生きていくことを諦めない。自分らしくありたいという“誇り”が彼女の支えだ。
「乳がんの患者の会に参加することがあります。末期の乳がん患者の私がフルで仕事をしていると言うと驚かれたり、喜ばれたり、意見を求められたり。そうやって人とつながること、世の中に還元できることが生きる希望なのです」