上司の励ましとフォローで、ほとんど休まず勤務を継続
Y・Kさん(40代)会社員

ぼうこうがんの罹患(りかん)率は男女比で約3対1といわれる。圧倒的に男性の患者が多いので、Y・Kさんはまさか自分がぼうこうがんになるとは思わなかった。もともとぼうこう炎の症状はあったが、ある日血尿が出て、クリニックで診察を受けたところ、がんの疑いがあると診断された。40代後半のときだ。

「専門病院で組織を取って検査に出す手術をするので、何日休むことになるかわからない、だから会社に報告したほうがいいと言われました。私は誰にも話したくなかったけれど、思い切って上司に打ち明けると『元気な君が嘘でしょう』と絶句。でも体が第一だと励まされて。会社には重い病気を乗り越えている人もいるから、頑張ろうと思ったのです」

副作用が軽いことが、かえって不安に

YさんはIT関連の仕事に就いており、平日は帰宅が夜遅くになることが多い。有給休暇がたまっていたので、それを消化する形で10日ほど休んだ。手術後はわりとスムーズに会社に復帰できたそうだが、その後の治療はどうしたのだろう?

病気を知ってから、治療過程や自分の気持ちを書いたノート。精神状態がひどいときは、書きなぐって気持ちを落ち着かせた。

「検査の結果、深くはないけれど、思ったより広い範囲にがんが広がっていたことがわかり、BCG(ウシ型弱毒結核菌)を注入する治療を受けることになりました」

幸いにも重篤な人に比べれば副作用は軽かった。注入した日の夜は、血尿、頻尿、微熱、だるさが出たが、朝になると会社になんとか行けるぐらいにはなる。しかし、通勤には気合が必要だったそうだ。

「トイレが近くなり、微熱やだるさが続いたのが勤務中の困りごと。ただ、インターネットでは、副作用が強いほうがワクチンが効いているという意見もあって、自分には効いていないのかもしれないと不安に。一時期、自分の病気に関することを調べまくっていましたが、情報収集もよしあしですね」

注入は終わったが、ぼうこうがんは再発率が高いので、定期的な内視鏡検査などが欠かせない。現在は夜まで診療しているかかりつけのクリニックに半休や有給休暇を使って検診に行く。