飲食業・宿泊業は就職しやすいが離職率が高い
「以前なら、後輩やアルバイトの子たちがちょっと雑な仕事をしたとき冗談半分で注意していたのが、今は嫌われてもいいからキッパリと注意するようになりました」
同僚や先輩に対しても「違う」と思えばそう伝え、自分の意見をしっかりと明言するようになった。周りからは「前はハッキリものを言う人ではなかったのに」と驚かれている。
近藤さんがアルバイト的に関わった時期も含め、矢場とんで働き始めてから8年が経つ。その間、矢場とんもまた成長したようだ。
「勤務体系がずいぶん変わりました。昔は朝早くから夜遅くまで働き、上になればなるほど休みが取りづらい環境でしたが、今はきちんと8時間勤務が守られています。休憩もしっかり取り、残業を少なくして、ちゃんと月に9日休める会社になった」
飲食業界の“因習”であった長時間労働で休みにくい環境を改善してきたのだ。でも近藤さんは「ちょっと戸惑っている」とも言う。
「僕は体を使って、朝早くから夜遅くまで働いているほうが性に合っている。今、時間が余ってしまって、正直その使い方がわからず戸惑っています(笑)」
急激な環境変化にまだ気持ちが付いていかない近藤さんだが、「余った時間は勉強に充てなくてはいけないのだろうな」と思い始めている。
「矢場とんがよい企業になるためには、社員一人一人が勉強しなくては。それが会社への恩返しにもなります。それに、以前、8カ月ほど海外に仕事で行かせてもらったとき英語が全くしゃべれず苦労しましたから、英語の勉強もしたいですね」
会社も社員の能力向上を支援する。今、チーフとサブチーフを、コミュニケーションや企画書の書き方などを学ぶ外部研修に通わせている。学ぶことは自分のためでもあるし、会社の力の底上げにもつながる。