なぜあなたは忙しいのか。それはムダな行動で時間を浪費しているからかもしれない。今回、「プレジデント」では5つのムダについて、5人の識者に解決法を聞いた。第2回は「争うだけムダ」――。(全5回)
※本稿は「プレジデント」(2018年1月29日号)の特集「24時間の使い方」の掲載記事を再編集したものです。
弁護士費用は着手金と報酬金で最低20万円
トラブルが発生し、裁判で白黒をつけることに。勝って自分の主張が認められれば、少なくとも自分が損することはない――。そう考えている人が多いが、裁判制度は万能ではない。訴えの内容や相手方の状況によっては、勝ったのに「損する」ケースもある。
日本の民事裁判は、原則的に、トラブルを事後にお金で解決する法制度に立脚している。感情的な部分はひとまず置いておき、金銭的な損得という視点で考えてみよう。
損をするのは、ズバリ、裁判のコストが、勝訴時に手にできるお金を上回る場合だ。裁判に要する弁護士費用は事務所や事案によって異なるが、ざっくりいって着手金と報酬金のトータルで、20万~30万円は最低でもかかるのではないか。つまり損害額がそれ以下のトラブルなら、勝訴して賠償してもらえても持ち出しになってしまう。
典型例は、少額の消費者被害だろう。近年、ネット通販でお金を払ったのに商品が届かないというトラブルが目立っている。しかし、被害額が数千~数万円レベルなら、弁護士に依頼して勝訴しても元が取れないどころか損をする。
少額の消費者被害でも、被害者を集めて集団訴訟を起こせば裁判費用をまかなえる可能性はあるが、これが難しい場合もある。クレジットカードで支払っているなら、カード会社に相談して対応してもらうことも現実的な選択肢となりうるだろう。