Q:ダメ上司にも、なぜ平気でごますりできるんですか?

【羽生】男性の習慣で気になるのはごますり。あれはムダだから、なくならないかなといつも思いますね。

【長山】あるある。うちの業界はオーナー企業が多いから、「建前やごますりで会社はできている」と感じるくらい。逆に本音しか言えない人は、すぐにいなくなります。

(左から)ごますり名人の磯野さん、クールガイの山岡さん、禁煙3カ月目の川中さん(イラスト=松島由林)

【磯野】ああ、わかる。

【長山】だから経営陣に本当の情報が伝わってない。ごますりで会社が傾いたら、こっちは死活問題ですよ。

【磯野】僕の会社は服装が自由なので、取締役のファッションを褒めたたえることから一日が始まります。

【岡田】そんなにおしゃれなんだ。

【磯野】男性なのにヴィヴィアン・ウエストウッドとか着て、“褒めろオーラ”全開だから、「そんな素晴らしい服、どこで買われたんですか?」と。そうしないと企画が通らなかったり、急ぎの決済がもらえなかったりだから、みんな必死です。

【岡田】うちの男性社員も「よっ、○○専務!」って、たいこもちみたいだけど、あれは仕事をスムーズに進めるためなんだ。

【磯野】仕事の流れをつくるために必要な戦術で、地道な努力ですよ。上司が巨人ファンだったら、前日の試合結果がモロ影響するし。

【川中】僕の会社でも、ごますりしないゴルフなんて、もうゴルフじゃない。カラオケで絶妙なタイミングで合いの手を入れるのも出世のコツです。ただ一方では、ごますりが通用しない相手もいるから難しい。

【若杉】うちの職場も、前の上司はごますりが効いたから男性社員はやたら持ち上げてたけど、いまの上司は効かなくて、ごますりが得意な人はむしろ排除されそうになってます。

【川中】これは偏見かもしれないけど、“褒めろオーラ”を出すのはだいたい1960年より前に生まれた人たちなんです。自分が上司や先輩の団塊世代にごますりしてきたから、「おまえらもやれ」という感覚。だから、あの人たちが定年退職すれば、その習慣はなくなるんじゃないかな。僕は70年代生まれだけど、ヨイショされると気色わるいですよ。何か下心があるんだろうと疑いますね。

【若杉】それ、当たってるかも。さっきのごますりが効かない上司は、その世代より若いですよ。ごますりする部下はむしろ評価が低いぐらい。