※本稿は、橋下徹『13歳からの政治の学校』(PHP新書)の一部を再編集したものです。
圧倒的な力を持つ、派閥のボス
今回は、よく耳にする「派閥」について考えたいと思います。
裏金スキャンダルにまみれた自民党は、岸田文雄首相が2024年1月18日、突如として派閥の解散を宣言しました。
しかし、一部の派閥は残っていますし、結局人が集まれば派閥はできるものなので、過去のものとはせずに、ここでしっかりと考えたいと思います。
まず、「派閥」とは国会議員のグループですが、日本の政治においては非常に厄介な存在です。
すでに国政においては、自民党や公明党、立憲民主党や日本維新の会などが乱立しているにもかかわらず、さらに同じ自民党内でいくつもの「派閥」に分かれ、それぞれに圧倒的な力を持つボスが君臨している。ボスの鶴の一声で人事が決まり、政策にも大いに影響を及ぼしている現実があります。
「○○派の◎◎氏が、総理と昨夜都内の飲食店で会合し、△△を直談判」
「◎◎氏(○○派)が、総理に怒りの電話」
という報道を見聞きすることがありますね。
民主主義は、最後は多数決で決まります。数がモノをいう。そのため、国会議員をグループとして束ねて数の力を行使できる派閥のボスが力を持ってしまうのです。
政治資金パーティーの意味
派閥をつくるために、ボスは並々ならぬ努力をします。この国会議員同士の人間関係をつくる場が、夜の飲み食いです。
メンバーが困ったときには相談に乗る、助けてあげる、メンバーが要職に就けるように掛け合ってあげる、必要なときにはお金のサポートをしてあげる。
だから派閥のボスは派閥としてお金を集めなければならず、政治資金パーティーをやるのです。そしてメンバーにお金を渡すやり方として、今回問題になった裏金の手段を用い、結果的に大スキャンダルになりました。
派閥のボスが総理や党の幹部に申し入れると、総理や幹部も要求を聞かざるをえなくなります。
このようにして、これまでの自民党の政治では派閥が非常に重要な存在でしたが、国民からすると関係ないですからね。しょせん国会議員同士の飲み食いがベースとなっている内々の人間関係によるもの。国民の意思が派閥に反映されていることなどありません。