世の中を動かす個人や組織のあり方を学ぶ
特に植村さんおすすめの1冊が、同社のマネージングディレクター・柴沼俊一氏が書いた『知られざる職種 アグリゲーター』。アグリゲーターとは、自らビジョンを掲げ、実現に必要な人や知識、アセットを組み合わせて、具体的な価値を創造できる「人財(=人材)」のこと。この本は、そうした能力を生かして世の中を動かす個人や組織のあり方をひも解いている。
「今後の企業にどんな人財が必要かを書いた本で、当社の人財開発の指針でもあります。組織の成長は個人の成長なくしてはありえず、個人の成長は学ぶ意欲がないと始まらない。私たちはその手助けとして、本などの学びの環境を整えるんです。内外の良いものを活用して社員や顧客に価値を提供し、ともに成長していく。これは、実はアグリゲーターの行動様式の1つでもあります」
学びたい、成長したいという意欲は誰もが持っているもの。しかし、それも長年同じ環境にいると失われてしまいがちだ。植村さんは、そんな人の「消えかかった火をボッと燃やす」役割も心がけているという。
若手に対しては自ら選んで学べる社内研修プログラムを用意するが、マネージャー以上になれば自ら学ぶべきことを考えるのが基本。そんな姿勢と環境が、同社が目指す「自立型人財」への成長を後押しする。
「知識を得るだけなら本でなくてもいいかもしれません。でも読書は、忙しい毎日の中で自分と向き合う時間をつくってくれる。社員にはこの時間を大切にしてほしいですね」
▼『イシューからはじめよ』
安宅和人 英治出版/1800円
▼『この1冊ですべてわかる経営戦略の基本』
日本総合研究所 経営戦略研究会 日本実業出版社/1500円
▼『企業分析シナリオ』
西山 茂 東洋経済新報社/2400円
▼『基本情報技術者標準教科書』
大滝みや子、坂部和久、早川芳彦 オーム社/1900円
▼『Running Lean実践リーンスタートアップ』
アッシュ・マウリャ オライリージャパン/2200円
▼『トム・ピーターズのサラリーマン大逆襲作戦〈2〉セクシープロジェクトで差をつけろ!』
トム・ピーターズ CCCメディアハウス/1300円
撮影=市来朋久、小倉和徳