クビ寸前まで追い詰められたことも

MBAを生かせる管理職には当分なれそうもなかった。2008年、トヨタからボストン・コンサルティング・グループに移る。転職先とは米国留学時代にインターンを経験した縁。入ってみるとトヨタとはまるで異世界だった。

(左上)トヨタ自動車入社(右上)ハーバード・ビジネス・スクール修了(MBA)(左下)営業本部東海エリア営業部長。未経験の営業で新たなる挑戦(右下)執行役員経営戦略部門統括。大組織を任され、さらなる挑戦

「トヨタでやっていたのは目の前で起きていることの問題解決なのでわかりやすいのですが、ここでは未知の業界やテーマを与えられ、問題解決しろと言われました。どれも経営者が悩む大問題です。たとえば、洋上風力発電を考えている会社がある。ビジネスになるか答えを出せとか」

コンサルタントなら未経験の問題でもロジカルに考えることで答えを出せるが、今までそういう考え方をしたことがなかった。転職から6カ月間、手も足も出ず、上司から「使い物にならん」「給料泥棒」など、厳しく言われ、クビ寸前まで追い詰められた。

ロジカルシンキングが身に付くまで、毎日調べものやらインタビューやらで深夜まで仕事漬けの日々。転職と同時期に結婚したのに、それが原因で5カ月のスピード離婚。人生のどん底を味わった。

新卒1~3年くらいの若手にカバーしてもらいながら何とか半年間を乗り切ると、2年目からは絶好調、3年目にはプロジェクトリーダーとして3、4人の部下を従えるように。ところが、ここにもまた落とし穴があった。