【橋本】今お金の話が出ましたが、うちの会社はマネジャー以上になると転勤しない地域職も選べます。ただ、月給が5万円くらい低くなります。加えて地域職社員には本人の希望だからと住宅手当も出ないので、さらに差は広がります。転勤しながらキャリアアップできる会社なので、転勤にポジティブではありますが。
【尾崎】転勤がキャリアアップになるのはすごい! うちは人がいないから、マンネリになるからという理由で異動させます。
望まない転勤をなくす方法は?
【橋本】転勤しない地域職を選んでも大きな仕事はできると思います。実際、仕事の評価が高くて生活も楽しんでいるママ社員やお孫さんがいるおばあちゃん店長がいます。
【木下】転勤して出世していくというのが「昭和の価値観」なのかもしれないですね。いまだに男性が家計を支えることをベースにあらゆる制度が設計されていて、それが改まっていない。保険や年金も全部そうじゃないかな。でも、いろんな家族があってもうそんな時代ではないのだから、国は制度設計を考え直してほしいですね。
【矢部】最近、私の会社はオンライン会議が多くなってきました。大阪の人とオンラインでミーティングするとか、上司との面談とかもオンラインで可能です。もっとテレビ会議などのシステムが発達すれば、転勤ありきではなくなってくるのかなって思います。
【尾崎】あと10年もすればITの発達で、望まない転勤はゼロに近くなるかも。ライフスタイルを守りましょう、ダイバーシティを進めましょうという流れはもっと強くなると思いますから。うちの会社でも最近、町の活性化も含めて地域で仕事のできる人を求めるようになりました。
【橋本】私も地方に転勤したとき町おこしをしようとする人たちと出会え、良いコミュニティーがつくれました。将来、一緒に何かできそうです。それに近場で温泉やキャンプが楽しめるのも地方のいいところ。理想は東京と地方にいくつか拠点をもって、季節ごとに移動する生活です。
【一同】それはいい。
【木下】近ごろお会いするコンサルタントの方たちの中には、地方に住んでいて自宅をオフィスにし、必要のあるときだけ東京に出てきて仕事をする人が増えています。
【橋本】これからは会社勤めではなく、働く場所も会社と個人で取り決める時代になるのではないかと思いますね。
「転勤の問題」について下記により要望いたしますので、よろしくご配意賜りますよう、切にお願い申し上げます。
(1)「イヤイヤ転勤」をなくすよう、企業に指示を出してください
時期や場所、キャリアプランなどを見据えた計画的で前向きな転勤になるよう企業の理解と体制づくりを推進してください。
(2)転勤して出世する昭和の価値観を捨ててください
保険や年金などの国の制度は、男性が家計を支える古い価値観が前提。転勤して出世するというのも昭和の価値観です。国が新しい制度設計を進めれば転勤の在り方も変わります。
以上 座談会参加者 一同