CASE2:強制休暇で生まれたもう一つの効果
制度:「山ごもり休暇」
どんな制度?:全社員が1年に連続9日間、交代で休暇を取る
効果は?:業務の見える化、共有、効率化
大阪市に本社があるIT企業、ロックオンにも変わった制度がある。有休2日に特別休暇3日、前後の土日を足した9日連続の“山ごもり休暇”だ。電話やメール連絡含め、仕事の持ち出しは厳禁で、職場との隔絶が要求される。人事部長の桐生明子さんが話す。
「副社長の提案で、2011年10月からスタートしました。目的は2つ。一つは心身のリフレッシュ、もう一つは仕事の属人化の排除です」
前者は明快だが、後者はどういうことか。「仕事が特定の個人に集中すると、その人が病気で倒れたり、退社したりした場合、業務が滞ってしまいます。そうしたリスクを避けるための『仕事の見える化』を進める仕組みでもあるんです。休暇前には詳細なマニュアルを作成し、引き継ぎを行っています」
休暇の使い道として多いのは海外旅行。「タンザニアの奥地にホームステイしました。身ぶり手ぶりでのコミュニケーションでしたが、言葉が通じなくてもどうにかなる、逆に私たちは言葉に頼りすぎではという気づきを得ました」(桐生さん)
百聞は一見にしかず。百見は一体験にしかず。そこから生まれる何かがある。社員を休ませるのは働かせることと同じくらい大切なこと。経営者は早く気づくべきだ。
撮影=向井 渉