誰が稼ぐかよりも何が家族にとって幸せか

結婚後に子どもが2人生まれ、2人目の出産からフルタイムに戻るときに転機が訪れる。上司から「ジェネラルマネジャー(GM)の道を考えてみないか」と言われたのだ。

セケイラさんは「今でもあらん限りのエネルギーを注ぎこんでいるので、これ以上は無理です」と答えた。上司は「さらにエネルギーを使うのではなく、賢く仕事をすればいい。妻や母の役割も果たしながら、GMもできるはずだよ」と言い、彼女がフルタイムに戻った後はメンターとなってセケイラさんのポテンシャルを十二分に引き出してくれた。そこからマネジャーの道を歩むことになる。

(上)家族とアイスホッケーの観戦(下)同僚とヒューストンにて

何年か経ち、子どもたちがミドルスクールに上がったころ、再び転機が訪れる。GMのオファーだったが、それまで住んでいたカナダからイギリスへの転勤を伴う。家族との話し合いが必要だった。

夫は地元の学校で教師をしていた。その仕事を辞めてもらわなければならない。セケイラさんは、誰が稼ぐかが問題ではなく、家族がハッピーになれればいいと考えた。「海外でいろんな人に出会ったり、異文化に触れたりすることは、子どもたちにもよい経験になる」

イギリスへの転勤は素晴らしい選択となった。

「それまで知らなかった市場を理解し、会ったことのない人と仕事をする。戦略を立て、チームの信頼を築き、組織を動かす、とても挑戦的な仕事でした」

気になる夫のキャリアだが、「病気の先生の代わりに臨時教員として教えたり、子どもが所属するホッケーチームのコーチをしたり、とても忙しく幸せそうでした。たぶんフルの仕事には戻りたくなかったんじゃないかな(笑)」。

セケイラさんはイギリス時代のGMの仕事も、その後にアメリカに移って就いた、ビジネスをリードする仕事も精力的に取り組んだ。そういう中での苦労は、リーダーシップの発揮の仕方だった。