業績が低迷し危機的な状態の企業では男性よりも女性がCEOに起用される傾向にあることを示す言葉。失敗のリスクが高いこともあり、実際に失敗すると「だから女性は幹部に向かない」という偏見につながる危険性がある。
「ガラスの崖」という言葉を知っていますか? 企業が危機的状況のとき女性がトップに立つ傾向を指し、イギリスでは、「業績の低い会社ほど女性の幹部が多い」という傾向や、「男性幹部が解雇されるのは27%、女性幹部が解雇されるのは38%」という数値を示した調査結果も出ています。とはいえ、そこに因果関係があるかどうかは、まだ解明されていません。
ただ、かつて業績不振だったヤフーがライバル社のグーグルの副社長であったマリッサ・メイヤーさんをCEOに抜擢したことをはじめ、イギリス首相のテリーザ・メイさん、日本では大塚家具の大塚久美子さん、東京都知事の小池百合子さんなど、何かとドラマティックなストーリーが注目を集めていることもあり、危機的な状況の企業や組織のトップには「何となく」女性が多いような印象を受け、記憶に残っているのも確かです。
その裏では、さまざまな仮説が考えられています。女性のほうが男性より安定的な経営をするだろうと期待を受けて就任する、女性は危機的なときにもあまりリサーチをせずに引き受ける、そもそもチャンスが少ないからこそ女性は依頼があればチャレンジする……。
本当の原因はわかりませんが、男性がCEOになるのは「ガラスの崖」といわれるような状況よりも、クッションのような居心地のいいときが多く、そのほうが問題ではないかという提起もされています。