――職場における男女格差も関係していますか?

【鎌田】そうですね。ハラスメントは、上下関係があるところで起きるので。

【中野】性別に限らず、人種などのダイバーシティも進んでいないため、一人一人の個人の尊重という概念も浸透していないのです。

――職場がセクハラ研修を行っても、効果はありませんか?

【大澤】忘年会シーズンに「飲みすぎないように注意」など、表面的な研修が多いのが現状です。

【中野】リスクマネジメントの一環として「訴えられるとまずいから」といったニュアンスで行われているのは問題です。セクハラは人権を侵害し相手を深く傷つける行為だという本質が伝わりません。

――セクハラや性犯罪撲滅のため、政府や組織に期待することはありますか?

【山本】日本は性犯罪やセクハラの加害者に対する処分が甘いため、結果として加害者を許し、性暴力を容認しています。

【鎌田】日本はいまだ100年前の罰則が適用されており、騙されて連れ込まれ、強姦されたような場合は強姦罪にあたらないケースがあります。性犯罪の罰則のあり方そのものを変えるべきです。

【山本】性犯罪者の更生プログラムも拡充すべきです。

【鎌田】社会は性暴力を許さないという姿勢を示す意味があります。

【山本】また、職場でセクハラの被害女性が直接、加害者である男性上司に「やめてください」と言うのは難しい。ですから、組織は第三者たる被害者専用窓口を用意すべきです。そうでないと、被害がもみ消されてしまいます。

▼「職場の性暴力」に関して

「職場の性暴力」について、下記により要望いたしますので、よろしくご配意賜りますよう、切にお願い申し上げます。

(1)きちんと裁かれることが大事
今度の刑法改正でも、多くの性暴力が犯罪と認められない可能性を残しています。性暴力を減らすためにも、加害者が罪を認め、謝罪し、更生できる場が必要です。

(2)被害者が沈黙することがないように窓口の設置を
被害者が困難をたった1人で抱え込むことのないよう、第三者による窓口の設置が急務です。

(3)セクハラ研修の発想を変えるべし
会社のリスクマネジメントとしてではなく、ダイバーシティの観点から、相手を尊重することの重要性を教えるべきです。

以上 座談会参加者 一同