国土交通省は消費者が安心して購入できる優良中古住宅のブランド制度「安心R住宅」を新設する。耐震性、建物状況調査の実施、リフォームに関する情報などを開示し、中古住宅の「不安」「汚い」イメージを払拭して、市場拡大を狙うというが……。
新しいイメージの中古住宅の供給
家具大手のニトリホールディングスが4月末に中古住宅販売のカチタス(群馬県桐生市)への出資を決めた。国も新築偏重の住宅政策を転換し、新たに中古住宅のブランド化に着手するなど、中古住宅への関心が高まりつつある。しかし、住宅大手が取り組む中古住宅販売は苦戦を強いられており、市場拡大につながるかは容易でない。
「安心R住宅」――。国土交通省が中古住宅の流通を促そうと、消費者が安心して購入できる高い品質の中古住宅に“お墨付き”を与えるために設けたブランド名だ。「R」はリユース、リフォーム、リノベーションを表し、国の登録を受けた不動産・住宅などの団体が定めた基準を満たす物件に使用が認められる。聞き慣れないブランドであるのは致し方ない。
4月末に締め切ったパブリックコメントを検討した上で、夏に告示する予定のためだ。国交省は具体的に耐震基準を満たしていること、建物状況調査で雨漏りや構造上の不具合がないことなどを確認して「不安」を取り除き、さらに基準にあったリフォームを実施、水回りや内外装の写真の開示などによって「汚い」といった中古住宅が抱えるマイナスイメージを払拭する。消費者が「住みたい」「買いたい」新しいイメージの中古住宅の供給増加を狙っている。
これには、住宅大手首脳も「戸建ての良質な住宅で若い世代の第1次住宅取得者が手の届く1棟2000万円程度で提供できるようになれば、市場拡大が期待できる」と歓迎する。しかし、中古住宅をめぐる環境はそう甘くない。積水ハウス、大和ハウス工業をはじめ住宅大手10社は「優良ストック住宅推進協議会」(会長=和田勇・積水ハウス会長)を2008年に設立し、国に先駆けて中古住宅流通の促進に取り組んできた。